検索窓
今日:2 hit、昨日:14 hit、合計:67,746 hit

167 ページ7

味方なんていない、敵陣の真っ只中。おまけにロクに動けも出来ず、助けだって呼べもしない。


どうしよう。どうしたらいい。

私が外に診療へ行っている事は近藤さんに知らせている。余りにも帰ってくるのが遅ければ、きっと太田さんの元へ探しに行くだろう。でも、それはいつ頃?というかそもそも、私が倒れてどれくらい経った?


窓の無い部屋の中では今が何時頃なのか分かりやしない。東堂さんに撃たれた時はほぼ日が沈んでいたから、多分夜なのだろうが、それだけ分かった所で意味など無い。

それ以外に分かることなんて、この攘夷志士たちが私を人質にしてこれから真選組を脅すつもりだということだけだ。


……時間稼ぎ、くらいか?今私にやれるのは。


焦りが募り、心拍数が増える中、私はひとつ息を飲み込み口を開いた。


「私を……人質にするつもり?」

「それ以外に何がある?」

「なら何で、人身売買の商人と手なんか組んでるの。意味が分からない」


震える声を抑えて、リーダーらしき志士と商人を睨み付ける。元から疑問に思ってもいたことだ。仮に「あの男」が志士達に情報を流したのだとして、それで彼らが得られる利益は何だと言うのか。


「金だよ、金。こいつらには商品の卸屋になってもらったんだよ、お嬢ちゃん。アンタで真選組を脅した後、こっちに売ってもらうっつー寸法だ」


答えたのは商人の男で、成る程と納得するしかなかった。攘夷志士にだって活動資金のようなものは必要だろう。爆弾作ったりだとか、色々と。

……けど。


「……国の改革を掲げてる癖に闇商人と手を組むなんて、あなた達に誇りはないの」

「何とでも抜かせ、汚らわしい天人との混血が。存在そのものが異端な貴様に、我らの行いを批判する権利など無い」

「なッ……!アンタッ……!!」


恐怖や不安、そして時間稼ぎという目的すら、全部一瞬で吹き飛んだ。

こいつは今、父さんを侮辱した。まるで溶岩流のようにあふれ出した怒りが全身を飲み込み、体温が急上昇する。しかしそんな私を嘲るように、リーダーの男は更に、


「貴様のような女を雇うなど、真選組も間抜けなものだ。自ら人質として適任な者を引き入れるなど、愚かにも程がある。それとも女に飢えていたのか?」


――真選組(かれら)まで、侮辱した。

 

168→←166



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (314 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
990人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 沖田総悟
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

まるの(プロフ) - コメント失礼します!ここまで一気見してしまいました...!すごくおもしろかったです!更新楽しみに待ってます!! (9月12日 1時) (レス) @page18 id: 0f64c498bd (このIDを非表示/違反報告)
カニチャンチャカ(プロフ) - 続き楽しみです♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪ (2022年3月6日 14時) (レス) id: cefe10f937 (このIDを非表示/違反報告)
bb - 更新待ってます! (2021年8月18日 23時) (レス) id: c3e9c2aa2f (このIDを非表示/違反報告)
神桜(プロフ) - はじめまして!とても面白い作品で3日でここまで一気に読んでしまいました…更新楽しみにしてます! (2021年7月22日 19時) (レス) id: 86ea1c42a8 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 待ってました!嬉しいです!! (2021年7月20日 22時) (レス) id: 859195a8cf (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:霜夜華 | 作成日時:2019年4月23日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。