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隊士たちは戸惑っていた。一体どうなっているのか。と。
それは当然、沖田とAの関係性についてである。沖田は「自分のせいで喧嘩した」と言うのに対し、Aは「自分が悪いし、喧嘩はしていない」と言う。
本当に一体何があったのか、という疑問が隊士たちの中でくすぶっているのは言うまでもない。
傍から見れば、「警察のくせにそんな事をいちいち考えていていいのか」という所ではあるが、そこは割とアットホームな真選組の長所でもある。
そしてその真選組のトップであるお人よしの近藤は、仕事もせずに土方の部屋に居座り、当然のようにこの問題について(一方的に)話し合おうとしていた。
「一体どうなってんだろうな、トシ」
「知らねェ。つか、何で俺んとこに来んだあんたは」
「これはいわゆる、互いの認識の違いからすれ違いを生じるっつー、あの展開ってことか?」
「無視か。ってか『あの』って何だよ、ゲームと現実ごっちゃにしてんじゃねェよ、でもって仕事してくれよ」
「悪ィ、気になって手が付かん!」
「堂々と言い切ることじゃねェからな!!?」
いつものごとくツッコんでから、土方は深い溜息を吐いた。
(全く、何でウチはこんな奴らばっかなんだ。別に色恋すんなとは言わねェが、フォローするこっちの身にもなれっつーの)
局長の近藤はお妙に付きまとい、一番隊隊長の沖田はこれまた長い片想いをこじらせている。しかも後者に至っては真選組全体で応援しているという始末。
ついでを言えば、山崎も絡繰りのたまに想いを寄せている。土方が「こいつら侍の本分どうした」と、たまに聞きたくなるのも仕方がない所ではある。
「別にいいだろ、ほっときゃ。その内あいつら自身で何とかすんだろ」
「何とか、って……。総悟だけで何とか出来んのか?それは大分心配が……」
「誰が総悟だけっつったよ。Aもに決まってんだろ」
「え?」
首を傾げる近藤に、土方は再び溜息を吐きつつ頭を掻く。
(何で俺がいちいち説明してやんなきゃなんねェんだか)
と、内心でぼやくが、それは何かと敏い土方に対し、周りが鈍感すぎるからとしか言い様がない。そしてそこできちんと説明するあたりが土方の優しさである。
「だから、Aだって仲直りしたがってんだよ。あいつ最近しょっちゅう溜息吐いて総悟見たりしてるし、物思いにふけってんだろーが」
「……そうだったか?」
「そうだよ。だから大丈夫だろ。分かったら仕事してくれ頼むから」
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伽那 - 一言で言うとこれめっちゃ好き (2019年11月26日 22時) (レス) id: dad38348f0 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - 沖田総悟さん» ありがとうございます!!もう!受験早く終われ!!!(泣)じわじわ更新ですが頑張ります! (2018年1月5日 8時) (レス) id: 3282eb2821 (このIDを非表示/違反報告)
沖田総悟 - とっても面白かったです!!キュンキュンもするし、見ながら泣きました‥。更新がんばってください!そして、受験ガンバってくださいね!!応援してます!! (2018年1月4日 19時) (レス) id: b86e1fcd7d (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - にんじん さん» あぁありがとうございます!!(泣)あと9日なんですよねー……ハハ。頑張ります! (2018年1月4日 14時) (レス) id: e79ecf6629 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - 受験頑張ってください!応援してます! (2018年1月4日 14時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霜夜華 | 作成日時:2017年9月29日 20時