85 ページ7
駄目だよなぁ、このままじゃ……。
数日後、特にすることも無くなった私は、ごろりと畳に横になり、縁側から庭をぼんやりと眺めながら、また沖田隊長との関係に思いを馳せていた。
どうやら隊士たちにも私と沖田隊長がぎくしゃくしていることは伝わってしまっていたらしいし、何とも申し訳ない。あの様子じゃ、多分少なからず皆気にしてるんだろう。
「かと言って、どうしたらいいのやら……」
何しろまず、自分の気持ちが理解出来ないというのに。
距離を取られたくない。前みたいに遠慮のない関係に戻りたい、なんて。
「嫌い……だった筈なのに、なぁ……」
認めたくないが、いつの間にか私は沖田隊長を嫌いではなくなってしまったらしい。
ほんの少し前までは「死ね」とか結構思っていた筈なんだが、思えば最近は全然そんな事がない。
多分、嫌いじゃなくなった最初のきっかけは――……。
「…はぁ」
今も着けている、ゲッカビジンの髪留めを触って、また溜息を吐いた。
どう考えてもこれ、だよな。
それから、私が隊士を治療した後倒れたのを、自分の部屋に運んでくれたりした時とかか。
嫌がらせばっかりしてきてたあいつにも、そういう優しさがあると、私にもまだ知らない面があると初めて知ったから。
だから、嫌いではなくなったんだろう。
「……けどその程度でここまでなるか普通……」
ぶっちゃけ今知ってる沖田隊長の優しさなんて、ここ二年間の嫌がらせと対比すると、大体9:1くらいの比率だ。
例えるならば、汚い沼地に一本だけ睡蓮の花が咲いているような感じだろうか。もしかしたら、それに目が行き過ぎてあいつの本性がぼやけて見えているのかもしれない。
「……でも嫌いじゃなくなる前に距離取られた時も、それが嫌だったんだっけ……」
そう。確かあの時も私は、何かよく分からないけどそれが嫌だった。一番距離が近いと思っていた隊長に距離を取られたくなかった。
あとあの急な態度の変わりっぷりが気持ち悪すぎたのもあるけど。
あの時は後半の理由が強すぎて、前半の理由はうやむやになっていたのだが、今回はうやむやには出来ない。そう思ってしばらく考えてみた、が。
――……駄目だ。何か余計に訳分かんなくなってきた。
もうこれは、一人で考えるのは限界なのかもしれない。ただひたすら堂々巡りをしている気がする。
「相談、するしかないかぁ……」
呟いてから勢いよく体を起こし、私は大股で部屋を出た。
1598人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
伽那 - 一言で言うとこれめっちゃ好き (2019年11月26日 22時) (レス) id: dad38348f0 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - 沖田総悟さん» ありがとうございます!!もう!受験早く終われ!!!(泣)じわじわ更新ですが頑張ります! (2018年1月5日 8時) (レス) id: 3282eb2821 (このIDを非表示/違反報告)
沖田総悟 - とっても面白かったです!!キュンキュンもするし、見ながら泣きました‥。更新がんばってください!そして、受験ガンバってくださいね!!応援してます!! (2018年1月4日 19時) (レス) id: b86e1fcd7d (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - にんじん さん» あぁありがとうございます!!(泣)あと9日なんですよねー……ハハ。頑張ります! (2018年1月4日 14時) (レス) id: e79ecf6629 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - 受験頑張ってください!応援してます! (2018年1月4日 14時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:霜夜華 | 作成日時:2017年9月29日 20時