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一言で言うなら、呆気にとられた。

『一緒に探す』。そんな事を言われるとは、思ってもみなかったから。


「なん、で……。そこまで」


そこまで私なんかに言ってくれるの。


呆れられたって仕方ないのに。見放されたって仕方ないのに。

なのに、何で。


「……お巡りっつーのは、助けを求められたら絶対に助けるモンだからねィ」


引き寄せていた私の体を離して笑ってみせた隊長は、いつもよりずっと頼もしく見えて。

ぎゅう、と胸が締め付けられるような感覚がした。


いいんだろうか。この言葉に甘えてしまっても。

――救われたい、と思ってしまっても。


そんな考えが一瞬頭を過るも、差し伸べられた手を振り払えるほどの余裕なんてもう残っていなくて。


「後悔、するかもしれませんよ……。こんな重いもの背負うなんて」

「俺ァお前と違って不器用でも弱くもねェからねィ。そんなもん重くもなんともねェよ」

「いっつも打たれ弱いって自己主張してるの誰ですか」


言いながら、笑いが出てしまう。


何かもう、いいや。

もう疲れてはいたんだ。こんな生き方には。

楽になれるんなら、楽になりたい。


「ごめんなさい……。ありがとう、ございます」

「ん」


ふわ、と私の頬を撫でて、隊長は。


「やっぱ、お前は笑ってる方がいい」


見た事もない優しい笑みに、目を見開く。


こんな顔、するんだ。


無意識に見惚れてしまっていると、隊長は「じゃ」と立ち上がる。


「俺ァ寝る。お休み、A」

「あ、はい……。お休みなさい」


部屋を出ていくその背が襖によって見えなくなるまで見つめて、それから気付く。


また、呼び捨てにされた。


何で急に、とも思ったが、何だかそれが不思議と嬉しい。

ごろんと横になると、さっき見た隊長の笑顔が頭に浮かんで。


…いつも、あんな風に笑ってたらいいのに。


――その夜は随分と久々に、心の軽さを感じたのだった。

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伽那 - 一言で言うとこれめっちゃ好き (2019年11月26日 22時) (レス) id: dad38348f0 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - 沖田総悟さん» ありがとうございます!!もう!受験早く終われ!!!(泣)じわじわ更新ですが頑張ります! (2018年1月5日 8時) (レス) id: 3282eb2821 (このIDを非表示/違反報告)
沖田総悟 - とっても面白かったです!!キュンキュンもするし、見ながら泣きました‥。更新がんばってください!そして、受験ガンバってくださいね!!応援してます!! (2018年1月4日 19時) (レス) id: b86e1fcd7d (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - にんじん  さん» あぁありがとうございます!!(泣)あと9日なんですよねー……ハハ。頑張ります! (2018年1月4日 14時) (レス) id: e79ecf6629 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん   - 受験頑張ってください!応援してます! (2018年1月4日 14時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:霜夜華 | 作成日時:2017年9月29日 20時

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