真選組専属医師の悩み３【沖田総悟】

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――何て不器用なんだ。


俯いて顔の見えないAを見ながら、沖田は思った。


Aは普段は周囲の人間と接する為に、その罪悪感からある程度目を背けていられる。だから明るく振る舞えるのだ。

しかし、完全に無視することはどうしても出来ない。その逃避行為を後ろめたく思う感情があるからだ。

それゆえに、捨て身の人命救助なんてものを生きる理由のひとつにしてしまう。


普通の人間は感じそうになった負の感情をすぐに無かったことにするのに、彼女にはそれが出来ないのだ。


(…馬鹿みてぇに真面目なんだな、こいつは)


自分とはまるで真逆だ、と沖田は思う。

仕事で人を斬っても、それに対していちいち負い目や罪悪感を感じてなんていられない。すぐに「無かった」ことにして、何食わぬ顔で生きている自分とは。


俯いて震えているAに、沖田はいつの間にか離していた胸倉を掴んでいた手を、その細い肩に回して自分に引き寄せた。

驚いたようにAが体を強張らせたのは分かったが、無視して両腕でしっかりと、だが優しく抱きしめる。


「……俺には、どうやって生きたらいいとか教えてなんてやれねェ。お前とは真逆の人間だからな」


だからって、見捨てる気もねェけど。と沖田は心の中で付け加える。

"助けて"と思っているのがこれ以上ない程感じられた上に、しかもそう思っているのが好きな女とあれば、見捨てられる筈もない。


答えは分からない。だがAにはもっと幸せに生きていてほしいし、その隣には自分がいたい。

――ならば。


「お前に出来る別の生き方を、俺が一緒に探してやる」

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