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鼻血を出しながら仰向けに倒れた志士のみぞおちに、更に遠慮なしに蹴りを入れて気絶させる。
「貴様っ……!!」
驚愕から怒りの表情になり、刀を構え直す志士たちに、間髪入れずに懐から武器である千本を取り出して投げる。何人かには刀で弾かれたが、二人には刺さった。
前に別の奴らに囲まれた時は持っていなかったけど、あの後は常に持つようにしてて正解だった…!
「ぐっ……!?」
「っ、おい!!」
呻き声を上げて倒れた二人は、そのまま動かなくなる。
単純な話だ。この千本には超強力なしびれ薬が仕込まれているというだけ。刺さればすぐに薬が効いて動けなくなる。
「〜〜っ一斉にかかれ!確実に奴の首を刎ねろ!いかに再生能力が高いと言えど――『はぁっ!!』
ぐぁっ!!」
呑気にも長い台詞を垂れ始めた一人の顎をアッパー気味にぶん殴り、頭に回し蹴りを叩きこんで気絶させる。
死ねない。こんな所で、こんな風に死んだらいけない。
何とか逃げないと……!
とは思うものの、次々に相手がかかってくるせいでとてもじゃないが逃げ出せない。
この雨のせいで煙玉は使えないし、そもそも私が戦い方を教わったのは、逃げる隙を生み出す為の物だ。
『A。戦うのは、絶対に逃げられなくなった時だけだ。それ以外では逃げろ。戦うのは二の次だ』
私に戦い方を教えてくれた父の声が、頭に蘇る。
四方から斬りかかられるのを必死に避けながら、また一人のみぞおちに肘鉄を入れて蹴飛ばす。
それでもどう考えても不利である状況に変わりはなく、腕や肩を斬られてしまう。
「い"っ……!!」
すぐに治るとは言え、痛いものは痛いし、おまけに疲れてきた。息切れが酷くて、酸素が全身に回っていないのが分かる。
どんどん重くなってくる体を叱咤しながら逃げる隙を伺うも、残っている人数が多すぎた。
あと8人…!!
また一斉に襲いかかってくるのを宙返りやら地面を転がったりやらで必死に避け、漸く一人の背後に回り込んで千本を背中に刺してうつ伏せに倒す。
その隙に今度は背中を斬られてしまう。
「こっ、のォォ!!」
痛みで涙が滲むのを感じながら、相手の腕を掴んで関節に膝蹴りを入れて骨を折る。
「ぐぁっ!!」
「おのれェっ!!!」
腕を押さえて下がった志士の死角から、一人が躍り出てきた。
咄嗟の事で反応が追い付かず、急いで後ろに飛びのいた時にはもう遅かった。
――ザシュッ!!
冷たく鋭い氷に、撫でられたような感覚がした。
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伽那 - 一言で言うとこれめっちゃ好き (2019年11月26日 22時) (レス) id: dad38348f0 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - 沖田総悟さん» ありがとうございます!!もう!受験早く終われ!!!(泣)じわじわ更新ですが頑張ります! (2018年1月5日 8時) (レス) id: 3282eb2821 (このIDを非表示/違反報告)
沖田総悟 - とっても面白かったです!!キュンキュンもするし、見ながら泣きました‥。更新がんばってください!そして、受験ガンバってくださいね!!応援してます!! (2018年1月4日 19時) (レス) id: b86e1fcd7d (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - にんじん さん» あぁありがとうございます!!(泣)あと9日なんですよねー……ハハ。頑張ります! (2018年1月4日 14時) (レス) id: e79ecf6629 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - 受験頑張ってください!応援してます! (2018年1月4日 14時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霜夜華 | 作成日時:2017年9月29日 20時