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背後で刀が振り下ろされたのを感じながら、必死で走る。


何で。

何であいつらが私の事を知ってるの。だって、言ってない。私の事を知ってるのは、近藤さんだけなのに。

近藤さんが誰かに話してそこから漏れた?いや、あの人がそんなことする訳ない。


だったら、何で―――!?


訳が分からないまま路地を曲がって、追いかけてくる志士たちを見やる。


「逃がすな!!ここで確実に殺せ!!」


殺意しかない血走った目に、ゾッとする。

あの時と同じだ。父と母を殺した奴らと、同じ目をしている。

人を人とも思っていない、残虐な目。


「ッ……」


とにかく、通りに出れば何とかなる…!


強くなってきた雨のせいで、先が見え辛い。なりふり構っていられないと判断し、目を意識的に凝らすと一気に視界が明るくなって、いつも以上に目が見えるようになる。

雷獣の目は流石に宇宙一と謳われるだけあって、晴れている時と同じか、それ以上に視界がクリアだ。


見えてきた通りに向かってひた走っていると、少し先の曲がり角からまた別の志士たちが現れてたたらを踏む。

振り返っても当然、追いかけてくる奴らはいる訳で。


「っ…!」


少し顔を歪め、すぐに別の道に駆け込む。


「はぁっ、はぁ……!」


自分の命を狙われているという恐ろしい感覚は、あの時以来のもので。

こんなのまた味わいたくなんてなかった、なんて思いながら路地を抜けたその先は、大体25m四方はありそうな広い行き止まりだった。


――逃げ場が、無い。


血の気が引くのを感じながら振り返ると、志士たちが余裕の態度で、歩いて距離を詰めてくるのが見えた。


「ここまでだ。大人しく諦めろ」

「っ……。か弱い女の子をっ……、大勢で追いかけて殺すとか、随分良い趣味してるんですね…。志士って……奴は。ドSの集まりなんですか?」


こんな奴らに、怯えなんてみせたくない。そんな自尊心から息切れしながら嫌味を言うも、虚勢だというのはバレているのだろう。彼らは全く表情を変えない。


「医者としての役割を果たしていただけなのは理解している。だが、真選組に属していたのが、貴様の失敗だ」


そう言いながら刀を振り上げる志士。

そして今度こそ、逃げ場のない私に刀を振り下ろす。


あぁ、もう……。



「――勝手に、もう終わったみたいな言い方すんな!!!」



叫びながら跳躍して刀を躱し、私は相手の頭を掴んで膝蹴りを入れた。

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伽那 - 一言で言うとこれめっちゃ好き (2019年11月26日 22時) (レス) id: dad38348f0 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - 沖田総悟さん» ありがとうございます!!もう!受験早く終われ!!!(泣)じわじわ更新ですが頑張ります! (2018年1月5日 8時) (レス) id: 3282eb2821 (このIDを非表示/違反報告)
沖田総悟 - とっても面白かったです!!キュンキュンもするし、見ながら泣きました‥。更新がんばってください!そして、受験ガンバってくださいね!!応援してます!! (2018年1月4日 19時) (レス) id: b86e1fcd7d (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - にんじん  さん» あぁありがとうございます!!(泣)あと9日なんですよねー……ハハ。頑張ります! (2018年1月4日 14時) (レス) id: e79ecf6629 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん   - 受験頑張ってください!応援してます! (2018年1月4日 14時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:霜夜華 | 作成日時:2017年9月29日 20時

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