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雨の臭いが濃くなってきたな、と思って少しした頃、空が泣きだした。

傘なんて気の利いた物は持っていないから、どう考えても濡れながら帰らないといけない。


…まぁ、また泣いちゃったのは誤魔化せるからいいか。これ以上強くならない内に帰ろ。

…本当は帰りたくないけど。


どこか投げやりな気分のまま身を起こし、私は割と大きめの粒が降るその中へ滑り出た。


「結構、強くなりそうかもな……」


服の中へ肌を伝って入ってくる水を感じながらゆっくりと足を進め、雨に霞む景色をぼんやり眺める。

蒸し暑さは余計に強くなるばかりだったが、雨自体は冷たくて心地よかった。


濡れていく服が段々重くなるのを感じながら歩いて、歩き続けて。

雨に打たれながら帰っているのを人に見られるのはちょっとやだな、なんて考えから裏道を通ったのが、きっと運の尽きだった。


「――真選組の専属医師とお見受けする」


背後から聞こえてきたパシャパシャという水を踏みしめる足音と、低い声に足を止めて振り返ると、刀を携えた男が六人程立っていた。

どう考えても、攘夷志士だ。


……最悪。


はぁ、と思わず溜息を吐いてしまう。


このまま捕まって人質になったら堪ったもんじゃない。どうにか撒かないと。


じり、と一歩後ずさると、先頭の男が刀を抜いた。

女子相手に刀振りかざすとかどうよ、なんて呑気に思っていられたのもそこまでだった。



「その身に流れる天人の血を利用し、真選組隊士のあらゆる怪我を治す医者――…。恨みは無いが、消えてもらおう」



――は?


ドクン、と心臓が大きく脈打った。


…何で?


硬直した私に、志士たちは近づいてくる。


何で、こいつらがそれを知ってるの。


混乱と焦燥と。そんな物で頭が埋め尽くされかけた時、雨に打たれて鈍く光る刀身が振り上げられる。


「――ッ!!」


それが振り下ろされそうになった瞬間、我に返って全力で逃げ出した。

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伽那 - 一言で言うとこれめっちゃ好き (2019年11月26日 22時) (レス) id: dad38348f0 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - 沖田総悟さん» ありがとうございます!!もう!受験早く終われ!!!(泣)じわじわ更新ですが頑張ります! (2018年1月5日 8時) (レス) id: 3282eb2821 (このIDを非表示/違反報告)
沖田総悟 - とっても面白かったです!!キュンキュンもするし、見ながら泣きました‥。更新がんばってください!そして、受験ガンバってくださいね!!応援してます!! (2018年1月4日 19時) (レス) id: b86e1fcd7d (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - にんじん  さん» あぁありがとうございます!!(泣)あと9日なんですよねー……ハハ。頑張ります! (2018年1月4日 14時) (レス) id: e79ecf6629 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん   - 受験頑張ってください!応援してます! (2018年1月4日 14時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:霜夜華 | 作成日時:2017年9月29日 20時

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