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一方、その頃。

朝からAが屯所にいない事態は、隊士たちにちょっとした動揺をもたらしていた。


「散歩に行ってきます」という書置きはあったものの、Aが屯所を出たのは隊士たちが起きる前。そして、今はもう昼も過ぎた所で、もう何時間も帰ってきていない事になる。

心配する隊士たちの中でただ一人、その原因が分かっている沖田は気まずい気分で見回りに出た。


いつもならばすぐにサボる所ではあるが、沖田も心配ではあったので、今日は真面目に職務――というよりも、見回りと称したA探しに励んでいる。


(あいつ、どこ行ったんでィ)


パトカーに乗って周囲を見回しながら、Aの姿を探す。

もしAがこのまま帰ってこなかったら、などという柄にもない不安を抱いているのが今の沖田の現状だった。


そんな姿を見た運転する隊士が、


(絶対コレAちゃん探してる)


と内心でこそばゆくなっているのなど、当然沖田はいざ知らず。若い者の青春は、上の世代からすれば、甘酸っぱすぎるにも程があるのである。

そしてついにそのこそばゆさに耐えきれなくなった隊士は、「あー」と出来るだけ自然を装って声をかけた。


「今日って午後から雨だって予報でしたけど…。Aちゃん傘持ってるんですかね」

「…知らね」


沖田はちらりと一瞬空を見上げた。

晴れていた筈の空は今は厚い雲に覆われ、今にも降り出そうとしているように見える。


降り出す雨を連想した瞬間、沖田は昨日のAの涙を思い出し、思わず舌打ちした。

「あのー、隊長」と、まだこそばゆい隊士は再び声をかけた。


「俺、前から聞きたかったんですけど、隊長はAちゃんのどこに惚れたんですか?」

「何だ急に」

「いえ、Aちゃん可愛いし、家事出来るし、優しいですけど、そういうとこに隊長が惚れるかなー、と」


そわそわしながら聞いてくる隊士にイラッとし、「教えねー」と沖田は窓の外を見る。


実際のところ、「どこ」と的確に理由を言えないというのもあった。

いつの間にか好きになっていた、としか言い様が無いのだ。


ただ、沖田がAの姿を思い浮かべる時は、彼女はいつも笑っている。

まるで、春に咲く、開いたばかりの桜のような笑顔で。


(…泣き顔なんざ、似合わねェよ)


ポツポツと降り始めた雨の向こう側を、沖田はじっと睨み付けた。

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伽那 - 一言で言うとこれめっちゃ好き (2019年11月26日 22時) (レス) id: dad38348f0 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - 沖田総悟さん» ありがとうございます!!もう!受験早く終われ!!!(泣)じわじわ更新ですが頑張ります! (2018年1月5日 8時) (レス) id: 3282eb2821 (このIDを非表示/違反報告)
沖田総悟 - とっても面白かったです!!キュンキュンもするし、見ながら泣きました‥。更新がんばってください!そして、受験ガンバってくださいね!!応援してます!! (2018年1月4日 19時) (レス) id: b86e1fcd7d (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - にんじん  さん» あぁありがとうございます!!(泣)あと9日なんですよねー……ハハ。頑張ります! (2018年1月4日 14時) (レス) id: e79ecf6629 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん   - 受験頑張ってください!応援してます! (2018年1月4日 14時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:霜夜華 | 作成日時:2017年9月29日 20時

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