番犬の護り鳥 (ページ9)

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切り裂きジャックの情報を得るため葬儀屋へ赴く。

「(さすがの僕も娼婦の情報は持ってないからな…)」

と思いながらシエルの後に続く。

「ヒッヒ…そろそろ…来る頃だと思ってたよ……よぅ〜こそ伯爵…」

棺桶からそういいながら出てきたのはこの店の主であるアンダーテイカー。その様は不気味としか言いようがなかった。

「やっと小生特製の棺に入ってくれる気になったのかい…！」

A君〜？とアンダーテイカーはAに近づく。

「(これだから、苦手なんだ…)まだ、そんな予定はないよ、葬儀屋。」

それより今日は…と言うAの言葉を葬儀屋は遮る。

「君たちが何を言いたいのか小生にはちゃんとわかっているよ。」

切り裂きジャックのことだろう？と、葬儀屋は話しだす。

「ホワイトチャペルで殺された娼婦には皆共通点がある。」

「「共通点？」」

思わずシエルと言葉が重なる。
その言葉に葬儀屋はなんだろうなぁとニヤニヤする。
あぁ、始まったとAは思った。

「さぁ伯爵…A君…小生にあれをおくれ…極上の「笑い」を小生におくれ…！！」

変人めとシエルが一喝する。本当にその通りだとAは思った。

新年会の眠れる虎と呼ばれたらしい劉も、社交界の花形であるマダム・レッドもその中身は拙いもので、葬儀屋のお気には召さなかったようだった。

「A君はどうだい…」

ふふふと笑いながら近寄ってくる葬儀屋に思わず後ずさりをする。
助け舟を出してくれたのは意外にもセバスチャンだった。

ーーーー

セバスチャンのおかげで葬儀屋から得た情報は、被害者の臓器…しかも子宮がないということだった。

葬儀屋を後にし、シエルとは別の馬車に乗り込む。一両だけでは少々窮屈だったため、Aとセスのみもう一両の馬車を使っていた。

「今ので、医学に精通する者、その中でアリバイのない者、黒魔術に関わる者…と絞れたわけか…」

「ええ、そうですねA様。｣

「思い当たるふしはあるが、アリバイが分からないからな…セス、セバスチャンを手伝ってこい。」

「Yes,my earl.」