番犬の護り鳥 (ページ6)

今日:8 hit、昨日:0 hit、合計:45,545 hit

.Ⅴ ページ6

「私も悪魔なのですよ。」

と、セバスチャンによって爆弾とも呼べる発言が落とされた。

しかし、その言葉に誰も何を言おうともせず、その場は静寂につつまれる。

「お前っ……！」

シエルが声を上げた。Aも予想していないことが起きたのか、セバスチャンを見て固まったままである。

「あちらも、同じような状況ですので話してしまえば何かと楽になるはずです。」

ふふ、と不敵に笑うセバスチャンは計り知れない。さすが、悪魔といったところだろうか。

「はぁ…同じということはA、お前の執事も？」

言ってしまったものは仕方ない、という風にシエルはため息をつき、そうAにたずねる。

「え、あぁ…」

「A様、この程度で動揺してどうするのですか…」

「仕方ないだろう、まさかシエルが悪魔と…」

契約をしていたなんて。という言葉はAの口から発されることはなかった。

「僕のほうもいろいろとあった、ということだ。」

シエルはお返しだとばかりに、わざと含みを持たせてその言葉を言った。

ーーーー
ーー

「部屋へ案内しよう。」

そう言って、シエルは立ち上がる。
それにAもつられる。

「あ、そうだ。」

と、ゲストルームを出ようとした時、思い出したかのようにAはセバスチャンに視線を送る。

「紅茶、美味しかった。」

「お褒めいただき光栄です。」

その言葉に満足し、今度こそ部屋を出ようとしたが、セバスチャンの目がアクマのそれへと化しておりAは動くことができなかった。

「…っ！」

その目に捕らわれている主人の前にセスは割って入る。

「セバスチャン、私の主人をそんな目で見ないで頂きたい。」

「おや、これは失礼いたしました。」

セスの後ろで固まっているAにセバスチャンは笑顔を送る。

「A様の魂があまりにも魅力的でしたので。」

Aに向けてセバスチャンが言ったものだが、同時にセスへ挑発しているともとれる言葉だった。