番犬の護り鳥 (ページ17)

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夜も更けた頃、扉をノックする音が廊下にこだました。

「…シエル、今いいか？」

「構わん。」

その、許可の声を素直に受け取り部屋へ入る。

「誕生日おめでとう、シエル。」

「…ありがとう、A。」

「しかし、今日は騒がしかったな…」

と、ミッドフォード公爵夫人とそのご息女がいらっしゃった出来事を思い返す。

「正直、今日はお前から1番に祝いの言葉を聞けると思ったんだがな。」

何やらあくどい笑みを浮かべるシエルに、Aはたじろぐ。
何か要求してくるに違いないと、思ったのだ。

「いや、今日は…「それで、ヴォルテール伯爵からは何を頂けるのか楽しみだな。」…性格悪いぞ…」

当たり前だ、と言わんばかりにシエルは笑みを深める。

「自社製品で申し訳ないが、これをシエルに。｣

そう言ってテーブルに出したのは、茶葉の入った缶だった。
ラベルには、シエル・ファントムハイヴと記載されている。

「ん、なんだ僕が用意してないと思ったのか？」

呆気にとられているシエルを見て思わず口角が上がる。形勢逆転、かな。

「シエルのための紅茶、だ。僕がわざわざ選んでブレンドしたんだ。大切に飲めよ。」

「…あぁ。」

返事こそ、素っ気ないもののその表情は嬉しそうに微笑む姿があった。
それを見て、Aも思わず嬉しくなる。

「積もりそうだな…」

窓の外にチラつく白い結晶を眺めながら、Aは呟いた。

「あぁ、そうだな…」

こんな、幸せな日とは裏腹に、重く冷たく降りしきるソレにAの胸はザワついた。

「また、荒れそうだな………」

その呟きは、冷たく溶けていった。

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白く彩りを加える英国に、異国の影が2つ。

「英国か…美しいな」

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季節外れにも程がある…