番犬の護り鳥 (ページ11)

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「案外すんなり入れたな…」

「そうですね」

Aとセスは席へ着く。

途端に始まったのはいわゆる闇オークションと呼ばれるもの。

その商品たちは若い女の子が多かった。

「次はお待ちかね目玉商品です」

と、ドルイット子爵の合図によって紹介されたのは何やら見かけたことあるドレス。

「シエルだな…」

スタートは1000からという掛け声に、目玉商品にしては低いな、とAは思う。

「1億…」

Aのその言葉に会場はざわめきたつ。

それによってシエルがAに気づき、2人は視線を合わせる。

「セス」

Aの呟き同時にその場が真っ暗になり、人のうめき声と鈍い音だけが響いた。

ーーーー

あかりが戻り、辺りを見回せばそこには裏パーティー参加者が乱雑に倒れていた。

「もう少し上品に出来ないのか…？」

と、Aがセスに向かって言う。

「セバスチャンにA様が捕らわれないよう必死でしたので…」

どうやら、あの一瞬とも呼べる暗闇でAは取り合いになっていたらしい。

「A、行くぞ」

シエルがAにそう言う。

「では、A様は私が…」

セバスチャンがAの腰に手を回しながらそう言った。

「っ！？セスっ！」

セバスチャンの行動に思わずAはセスの名前を呼ぶ。

「セバスチャンは自身の主人がおありでしょう、A様から手を離して頂けませんか」

セスがセバスチャンに向かって強くそう言うが、当の本人は離すつもりはないらしい。
ラピスも抵抗するが、力の差は歴然である。

「…っヤードが来る…仕方ない、セスはシエルを頼む」

大きくなるざわめきにAはそう判断を下した。

「良いご判断です、A様。」

Aの判断にそう言ってセバスチャンはにっこりと笑う。

ーーー
ー翌日。

新聞の1面を堂々と飾っていたのは、切り裂きジャック再びあらわる！という言葉だった。