10 ページ10
・
卒業まであと1ヶ月。
ついに担任からも黄色信号を出された私は、ユンギの夢に比べたら小さな"卒業する"という夢を持った。
なにも満点を取れとは言わない、最低限の点数を取れば卒業出来るんだから、という担任の言葉に嫌々鉛筆を握った。
卒業しなきゃ何も始まらない。
ユンギはそう言ってたな。
この状況を変えるには、飛び降りて人生を終わらせるということより、自立して大人になること。
ユンギと話すようになってから少しだけ、考え方が変わった気がする。
それはきっとユンギが私の知る大人よりも、大人だからだろうか。
YG「うー寒っ。」
「家があるんだから家に帰ればいいじゃん。」
相変わらず家には帰らない生活。
寒さに耐えながら、教科書片手に小さな脳みそをフル回転させて課題をする。
毎日ではないけれど、ユンギはこうしてわたしの家と化したビルに来てボソボソと小言を話していく。
YG「お前が勉強なんか始めたせいで今年は寒さがひどい。」
「なにそれ。」
YG「そのまんまの意味。」
そう言って、勉強、ではなく作曲をするユンギ。
まだ一度も聴かせてくれないそのラップは、いつか聴ける日が来るのかな。
YG「あ、そろそろバイトだわ。」
「えっ、もうそんな時間？あたしも行かなきゃ。」
ユンギは楽器屋で、私はファーストフード店でバイトを始めた。
卒業したら、したいことはないけれど。
それでもやっぱりお金がなきゃ行きていけない。
YG「お前、俺と出会ってから変わったな。」
「そう？」
YG「笑うようになった。ブスだけど。」
「すいませんね、ブスで。」
YG「お前冗談通じないタイプだよな。」
「冗談でも言っちゃいけないことあるの知らないわけ？」
YG「俺そういうの苦手。」
「私はそんなユンギが苦手。」
話している内容なんて、どうでもよかった。
話せるならなんでもよかった。
YG「お前さぁ、」
「ねぇいつまでお前って呼ぶの？名前あるんだけど。」
YG「お前はお前のままなの。」
「本当意味わからない。」
お前だろうと、なんだろうと。
ユンギが呼んでくれるならなんでもいい。
ユンギなら、なんだっていいんだ。
いつからだろう。
ユンギが笑うと、ユンギの側にいると、ドキドキするようになったのは。
わたしばっかり、こんな想いしてるんだろうな。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 415人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ro(プロフ) - パールさん» きゅんきゅんしていただけてよかったですー！ありがとうございました^_^！ (2018年5月16日 7時) (
レス) id: a5308edabf (このIDを非表示/違反報告)
パール(プロフ) - すごく面白かったです！キュンキュンする場面が多くて表情管理大変でした笑素晴らしい作品ありがとうございます！ (2018年5月16日 0時) (レス) id: 5f91a6eaeb (このIDを非表示/違反報告)
ro(プロフ) - ＃はるさん» ありがとうございます！自分の書きたいがままに書いているので…そう言っていただけて嬉しいです！完結までぜひお付き合いください。 (2018年5月11日 17時) (レス) id: fa768e231f (このIDを非表示/違反報告)
＃はる - とってもおもしろいです！もぅ、胸がキュンキュンしたりしめつけられたり...w更新頑張ってください！ (2018年5月10日 23時) (レス) id: 322e3cca86 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ro | 作成日時：2018年5月8日 17時
