35 ページ35
・
やっぱり今日ここに来て正解だった。
年末の忙しい時期に入り、あっという間に自由な時間は制限される。
私用で宿舎から出ることも禁止にされ、息も詰まって作業も進まない。
飲み物一つすら買いに行けない。
俺より先に暴れだしたのはマンネラインとホソクで、ジニヒョンやナムジュンも声に出さないだけでげっそりしていた。
さすがに見かねたマネヒョンが仕事終わりに明日の集合時間まで２週間ぶりに自由時間をくれた。
夕方収録を終えて、みんなで飯を食いに行くというのをキャンセルして俺は真っ先にAのマンションにやってきた。
連絡先も知らないから待つことしか出来なくて、どれくらい待ったんだろう。
とぼとぼと歩いてきたAは顔を真っ赤にして。
こんなときまで1人にさせなくてよかった。
今日が今日でよかった、なんて思いながらベッドに寄りかかった。
このまま時間が止まればいい。
やりたいことができて、毎日楽しくて。
でも余裕はなくて。
ゆっくりと時間が流れているのを感じて、ほんの少し肩の荷が下りたような感覚になる。
あまり仕事の話をしたがらないAは、昔から変わらない。
あの頃もラップのラの字も聞いてこないような奴だったっけ。
「ユンギ。」
誰に呼ばれるよりも心地いい。
お互い甘えるのは苦手。
だからAの気持ちがわかるから。
今日は、側にいさせて。
YG「ん？」
「ありがと、ね。」
YG「…おう。」
昔とまた同じように、こうして2人でいれたらそれでいい。
Aも、俺も、誰のものでもない。
いつかAにも、大切に思う人ができるんだろうな。
そしたら身を引くから。
でもそれまではAが1人にならないように、俺がそばにいてやるから。
しばらくして聞こえてきた寝息。
覗き込むと月に照らされたAの綺麗な寝顔。
そっと耳元のコンパスを撫でる。
このコンパスを、俺が意味のあるものにしてやりたいんだ。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 415人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ro(プロフ) - パールさん» きゅんきゅんしていただけてよかったですー！ありがとうございました^_^！ (2018年5月16日 7時) (
レス) id: a5308edabf (このIDを非表示/違反報告)
パール(プロフ) - すごく面白かったです！キュンキュンする場面が多くて表情管理大変でした笑素晴らしい作品ありがとうございます！ (2018年5月16日 0時) (レス) id: 5f91a6eaeb (このIDを非表示/違反報告)
ro(プロフ) - ＃はるさん» ありがとうございます！自分の書きたいがままに書いているので…そう言っていただけて嬉しいです！完結までぜひお付き合いください。 (2018年5月11日 17時) (レス) id: fa768e231f (このIDを非表示/違反報告)
＃はる - とってもおもしろいです！もぅ、胸がキュンキュンしたりしめつけられたり...w更新頑張ってください！ (2018年5月10日 23時) (レス) id: 322e3cca86 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ro | 作成日時：2018年5月8日 17時
