恋しませんか？ (ページ15)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:58,811 hit

15 ページ15

・

_____you side

ジョングクくんは有名人だった。

傘を貸した時はそんなこと、微塵も思っていなかった。

でも何回か来ている姿を見ると、拭いきれないオーラがあるように感じた。

そんな彼に、恋しませんか？なんてベタなセリフを言われた日。

ドキドキしたのは言うまでもない。

HN「おかえりなさい、オンマ。」

「ただいま、ハヌリ。」

そんなことを言われ、急いで玄関を開けた私を迎え入れてくれる愛しい息子。

この子がいる以上、恋なんかにうつつ抜かしている
わけにいかない。

しっかり育てなきゃ。

この子には私しかいない。

珍しいことでもなかった。

周りにはシングルマザーとして働いている人もいるし、恋をして、新しいパートナーを見つけて自分の子供を一緒に育てている人もいる。

周りから、まだ若いんだし息子のためにもパートナーを見つけるべきだと言われる。

今は私だけで良くても、いずれ、息子にも父親の存在が必要になることもわかっている。

HN「オンマ、どうしたの？」

「ん？なんか変？」

HN「ごめんね、僕のせいでたくさん…働かなきゃいけなくて。」

「何言ってんの！親なんだから、当たり前じゃない。」

息子のハヌリが最近ダンスを習い始めて、毎日ではないけれど夜のバイトも始めた。

その姿もジョングクくんに見られていた。

正直、嬉しくないわけがなかった。

息子と二人きりでの生活、頼れる人もいない。

家と職場の往復で、出会いなんてなかった。

出会ってから間もない私を、そんな風に見てくれる人が居たことが嬉しかった。

普通なら受け入れられたかもしれない。

でも。

ジョングクくんに、この事実を打ち明けるのが重荷だと思った。

まだ22歳、人気があるアイドル。

彼とはもう、話すこともないだろう。

・