恋しませんか？ (ページ14)

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JK「Aヌナ。」

テーブルを拭く背中は、ぴくっと反応して振り返る。

「…ジョングクくん…傘、なかったの？」

JK「練習終わって、走ってきました。」

「タオル貸してあげるから、待ってて？」

ポタポタと髪の毛から雫が落ちる。

すぐに彼女はタオルを持ってきて、彼女の匂いのするタオルに包まれた。

もう閉店間近の店内には、彼女と俺、もう一人の店員は気を遣ってか遠くのカウンターにいる。

JK「会いたくて…来ました。この前のこと、ちゃんと聞きたくて。」

「…ごめんなさい。」

そう言ってあの日と同じように謝る彼女。

この前は暗くてよく見えなかったけど、明るい照明に照らされた彼女の顔は、迷惑そうな顔ってわけでもなくて。

今日の光景が脳裏に焼き付いている。

小学生くらいの男の子の手を引きながら、傘をさして歩く彼女の姿。

俺の目の前に立ったままの彼女の左手には、指輪らしきものはない。

仕事柄していないのか、どうなのか。

「ジョングクくん、気持ちは嬉しいんだけど…。」

JK「はい。」

「まだ若いんだし、他にいい人が現れると思うの。私なんか…ジョングクくんに釣り合わないし。」

JK「…それが理由ですか？」

「えっ？」

JK「Aヌナは、俺のこと、嫌いですか？」

嫌な奴だな、俺。

きっと優しい彼女は、嫌いだなんて言わない。

嫌い、迷惑だからやめてほしい。

そう言われないと、諦めきれない気がするんだ。

「嫌いじゃない…けど。でも、ダメなの。」

JK「教えてください。」

「…私、子供がいるの。結婚はしてないんだけど、自分の子供がいる。」

JK「…今日、見かけました。あの傘さしてましたよね？」

「…そうだったんだ…。今、8歳なの。」

だから恋はしちゃダメなんだ、と小さく呟いた彼女は寂しそうな顔をした。

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