不仲説。【宇髄天元】

嫌われたくない ページ47

『目、痛い…』









目を冷やさずに寝たせいか瞼がなかなか開いてくれない。









Aはそのまま布団で昨日のことを思い出していた。









冷静になればなるほど宇髄は正論しか言ってないことに気づく。









＿＿榎本はもっと、隊に必要なことを自覚しろ。



＿＿お前に俺の嫁の何がわかるんだよ









全部、当たり前だ。









柱は少々の私用を犠牲にするなんてざらにあるし宇髄の嫁のことを知るはずもない。









愛妻家で有名な宇髄だ。









嫁も同意の上の話に違いないはず。









何にそんなに腹がたったのだろう。









『自己中はどっちよってね』









自虐気味に笑うA。









＿＿宇髄なんて……大っ嫌い！









そして自分の言った言葉を思い出してズキン、と強く胸が痛んだ。









素直になれないくせに感情的になると言ってはいけないことを言ってしまうのだ。









本当はもうそんなこと、思ってない。









刹那、優しく笑ってくれた宇髄の顔が脳裏に浮かんだ。









昨日の怒った顔も。









…昨日、宇髄は私のことを嫌いになっただろうか。









『……嫌われたくないなぁ』









本音を漏らせばまた泣きそうになる。









自分に泣く資格なんてないのに。









嫌われてもいいなんて思っていた頃に戻るには2人で過ごしていた時間が長すぎた。









彼の優しさに触れてしまえば、もう戻れない。









…別にそれ以上のことを望んでるわけではない。









ただ、これからも同僚として仲良くしたいだけだ。

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