ごめんな ページ15
そして、玲は消えていった。
『お母さんはこっちだ』
しばらくしてお母さんは、と顔を上げたとき、突如として現れた声にAの肩があがる。
裏庭に小さな山が作られていた。
(私だけが生き残って)
(これからどうしろっていうの?)
『この世界には鬼がいる』
しばらく経ったあと、赤い髪の人___当時の炎柱は言った。
『君の弟も鬼にされた。鬼にできるのはこの世に1人しかいない』
『…誰ですか』
震える声でそうAは発した。
『鬼舞辻無惨だ』
『…私、鬼舞辻無惨の頸を斬りたい』
Aの目つきは今と変わらない、真剣な眼差しだった。
『いいのか、全てを犠牲にするんだぞ?』
『いいです。もう…何もないので。どんなに厳しくてもついていきます。こんな思い、他の人にさせたくないです。』
そう言って頭を下げたAを見て炎柱は頷いた。
『じゃあ育手を紹介しよう。準備をして少し待っていてくれ』
裏庭から炎柱はいなくなり、Aと宇髄だけが取り残された。
『…ごめんな、榎本』
目の前にいる幼いAに独り言として呟いた__はずだった。
『…誰ですか?』
目の前のAはしっかりと宇髄を捉えていた。
『…宇髄天元』
『宇髄さんですか。榎本Aって言います』
どうなっているのは謎だが額当てをとっといてよかった、と宇髄は心から思った。
『せっかくなのでお茶でもいかがですか?』
家に招き入れようとする幼いA。
だけど…宇髄は家に入ってはいけない気がした。
『どうしたんですか?早く早く!』
手を引いて家へ連れ込もうとする。
その力が尋常じゃないほど強いことで宇髄は察した。
こいつは鬼だ。Aに成り変わった鬼の化身だ。
背中にある日輪刀が何よりの証拠だった。
だけど…
(斬れるかよ…っ)
こんな過去を見て。Aの気持ちを知って。
鬼だとわかっていても、刀を握れなかった。
『宇髄さん?』
『__ずい!』
家に少しづつ近づいていくとき、幼いAの声と同時に遠くでもう一つ声が聞こえた。
『…て!宇髄!』
"起きて!宇髄!"
聞こえた。今のAの声だ。
もう宇髄は迷わなかった。
『…ごめんな、榎本』
もう一度幼い彼女に謝り、そして、目の前の頸を一瞬で斬った。
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杏(プロフ) - 小桜さん» そうなんですー!目の付け所よすぎませんか!?夢主ちゃん、鬼殺のことしか頭になくて経験もなく恋愛に関しては鈍感っていう設定なんです…! (2021年3月26日 21時) (レス) id: 0ee7ff2bf8 (このIDを非表示/違反報告)
杏(プロフ) - 左倉碧さん» 宇髄さんイケメンですよねわかります(黙れ) ありがとうございます〜!頑張ります! (2021年3月26日 21時) (レス) id: 0ee7ff2bf8 (このIDを非表示/違反報告)
小桜 - 夢主ちゃんって、意外と恋愛に関して鈍感なんですね。可愛らしいです♪ (2021年3月26日 16時) (レス) id: 2f84cbf165 (このIDを非表示/違反報告)
左倉碧 - え、好きいい←宇髄さん最推しなのでもう鼻血が出そうです!←続き、楽しみにしてます!(((o(*゚▽゚*)o))) (2021年3月21日 19時) (レス) id: 92b38e517e (このIDを非表示/違反報告)
杏(プロフ) - 小桜さん» コメントありがとうございます〜!贈り物に込められた意味素敵ですよね〜!そうなんです、不死川さん夢主ちゃん大好きなんです笑 更新頑張りますね! (2021年3月20日 21時) (レス) id: 0ee7ff2bf8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:杏 | 作成日時:2021年2月26日 0時