はんぺんを届けてくれた本人が私の恋人です（震え）

はんぺんふわふわ 78 ページ39

『…すぅ。』



深呼吸。

私が歌う前に絶対にすること。

これをするとしないとじゃ、全然違うんだよね。







『“〜ah♪”』



この曲の、歌詞の一部にこういうのがある。




『“…僕を求めて、溶けて。”』


僕っていうのは、そらるさんなのか誰かは本人には聞けてないけど。


これはきっとそらるさんなんだろう。








前そらるさんは、こういうことを言っていた。


[俺が曲書くときって、その時の心情とか体調とかそういうのが影響するんだよね。]





私は、この曲は一見色気の主張が強い曲だと思ったんだけど、そう言っていたのを思い出して私を求めてくれている歌なんじゃないかって思った。





『“あなたの全てが、欲しいんだ。”』




そらるさんは、私の思っている以上に私を求めているんだと思う。それは、きっときれいな感情だけではないだろう。この曲の構成自体、あまり綺麗だとは言えないから。






でも、私はそれでいいと思ってる。



私だって、そらるさんを求めてるし、求められたい。


あなたに、全てを捧げてもいい。








そのかわり、そらるさんのすべても欲しいけどね。






『“愛して、汚して、包んで。”』




『“あなたを思ってる。”』








この曲のおかげて、よりいっそうそらるさんを知れた気がする。


こんなにダイレクトに感情が伝わってくる。






『…私も。』


歌い終わった後、マイクに入らないようにその場にポツンと言葉をおとした。





『…ありがとうございました！はい。次は、そらるさんの番でーす。』



舞台袖からそらるさんが出てきて、私が舞台袖へ戻る。



すれ違うときに、そらるさんに聞こえる声でもう一度。



『私もです。がんばって。』


そらるさんの背に手を添えてそう言った。



その時、そらるさんの目が驚いたようにパチリと開いて、





「…りょ。」



と、軽く返事をされた。






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ちょっと、長くなっちゃったかぁ

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