第六章 「招くべき客」 ページ8
シュン。
風を切る音がし、しばらく経ってから壁に何かが当たる音がした。
しばらく沈黙が続く。
そして、誰かの声がした。
「間一髪でしたね・・・」
恐る恐る、声のした方を見る。
そこには、杏でもない、日和様でもない女の人が立っていた。
「誰ですか?」
片手を後ろに隠し、もう片方の手で日和様を守る。
杏は物凄い顔で彼女を見ている。
「え、と・・・ハハハ・・・・・・すみません、不法侵入ですよね〜・・・」
髪をゆるく後ろで束ね、背中にカバンをかけている。
両手を上にあげ、苦笑いを浮かべながら、少しずつ後ろに下がっていった。
「本物か?」
不意に、杏が彼女に向かって声をかけた。
彼女はそれに反応し、ニヤリと笑ってからこういった。
「いいえ、偽物です」
彼女がそう言ったと同時に、杏が顔を緩める。
「ほめりじゃねぇか!久しぶりだなぁ!!」
「杏くん、久しぶり〜!会いたかったよぉ〜!!」
二人がそう言いながら、近づく。
ど、どういう状況だ・・・?
日和様と俺は訳が分からず、口を開けたまま二人を見ている。
「あぁ、悪い。こいつは俺の友人。前にソルアに尋ねに行った奴だよ(西園寺家の一部参照)」
「初めまして。
ほめり様が一礼する。
「実は結構前からこの城にいて・・・w潜り込んでたんです」
「・・・・・・もしかして、あの音は!?」
「はい、私です。気づかれるかと思ってヒヤヒヤしましたw」
俺が聞くと、ほめり様はあっさりと吐いた。
窓の外でしていた音はほめり様だったのだ。
それにしても、ほめり様はすごい。なんせ・・・杏より小さいww
「それよりもほめり、貴方はここに何をしに来たのですか?」
日和様がほめり様に聞くと、急に彼女は顔をこわばらせた。
よほど重要なのだろう。
「日和国王妃。先ほどの件もありましたので、きちんと報告させていただきます。この国、倭王国は今、海の向こうの大陸、そこに巨大な城を築いている『ユスアトッカ合併国』に滅ぼされようとしています」
ほめり様が日和様の前にひざまずき、そう言った。
そこにいた、杏と俺、日和様の顔が凍り付くのが分かった。
「ほ、めり・・・?どういうことですか?この国がなぜ―――」
「倭王国は、前回の戦争の際に・・・・・・」
日和様の言葉をほめり様が遮った。
「倭王国はソルアを解体させた。ソルアを乗っ取ろうとしていたユスアトッカはそれに怒っているんです」
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