第十章 「準備」 ページ12
大翔様は立ち上がり、ほめり様の肩、そして杏の肩に手を置いた。
「ほめり、君は今からソルアへ行ってくれ。杏、君は鮮少だ。この意味が分かるな?」
ポカンと口を開けている俺と日和様とは違い、杏とほめり様はそう言われると、同時に頷いた。
「わかりました、大翔様」
「了解です、国王陛下」
二人は、一礼すると部屋から出て行った。
「さてと、君たちは全くわからない、と言う顔をしているね」
二人が出て行ったのを確認すると、大翔様が椅子に座り、俺と日和様に笑いかけた。
俺も日和様も少しためらいがちに頷いた。
俺は全くわからない、というわけじゃない←
「四ヵ国・・・つまりは―――」
「倭王国、翰林、鮮少、ソルアの四ヵ国で同盟を組むんだ」
俺の言葉を継ぎ、大翔様が答えた。
日和様の顔は、驚いている。
「ソルアと同盟!?以前戦争をした国ですよ?国民が何というか・・・」
「グラーシス様の病気の件でこちらに来る際、文句を言う国民はおりませんでした。大丈夫なのではないでしょうか?」
不安がる日和様を宥める。
「それもそうだけど・・・」
「このために二人をソルアと鮮少に向かわせたんだ。あとは―――」
大翔様がそう言っていると、扉が二回、音がした。
「どうぞ」
大翔様がそういうと、扉が開いた。
「国王陛下、少しお話が・・・・・・て、皆さんお揃いで?」
入ってきたのは、椿様だった。
いつもと違い、顔に似合わない真面目な顔をしている(失礼)
「椿くんか・・・ちょうどよかった」
大翔様が笑い、俺に椅子を出すように指示をした。
椿様は、俺の出した椅子に座ると、少しかしこまった様に見える。
「先日の戦争の件で、向こうの大陸の国『ユスアトッカ合併国』が怒っているそうなんだ」
「は、はい・・・」
「だからね、四ヵ国同盟を組もうと思う。それに翰林も入ってくれるか聞いてきてもらえないだろうか?」
「わ、わかりました・・・」
椿様は、大翔様の言葉にうなずき、少し考えた。
「ところで、話は何だったのかな?」
大翔様が聞くと、椿様が顔を上げ、俺と日和様を見る。
「いえ、それほどの用事でもないので。では、後程」
椿様は立ち上がり、一礼すると部屋を立ち去った。
「杏にほめり様・・・椿様までいなくなると、城が静かになりますね」
俺がそういうと、日和様は少し寂しそうに頷いた。
「いや、そうでもないよ」
大翔様はそう言いながら立ち上がった。
「もっと静かな倭王国もあったさ」
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