STORY.４ ページ5
(Aside)
あらかた、ユメクイを残滅し終えた後。
落ち着いた今の内に話でもしよう、と、
四人輪になって顔を見合わせていた。
お姫様に、王子に、喋るぬいぐるみに、美青年(俺)。
……
「僕は、夢愛姫に使える執事、ナビです」
『ナビ……？
いや、白……、もふもふ……、もふしろ……』
「……どうされました？」
『うん……。よし、宜しく、"シロモフ"』
「何が、"よし"なんですか！？」
友好的に差し出した手の平は、
小さなモフモフした手で振り払われる。
そのまま、疑り深い目が、俺を射抜いた。
「助けて頂きありがとうございました。
しかし、あなたは一体、何者なんですか……？」
むっ、なるほど……。
怪しい奴とは握手すら出来ない、と。
そういう事なら、疑いを晴らさないといけない。
俺は……。
「……A」
トロイメアの姫、やら、
アルストリアの王子、やら
名乗れる肩書きが有れば良かったものの。
悲しい事ながら、"今は"そんなものは無い。
少々不思議そうな顔をしたシロモフが口を開く前に
シロモフの隣に居る彼女に視線を向けた。
『君は？ トロイメアのお姫様？』
「い、いえ、私は……」
「はい、夢愛姫はトロイメアの姫です」
俺の問い掛けに口籠る夢愛ねぇさ……、ゆめゆめ。
そんな、ゆめゆめの代わりに、
シロモフが胸を張って言い切った。
ふうん？
見た所、記憶は失われているらしい。
じっと一人と一匹を見据えていると、
ふと、アヴィピーが首を傾げたのが見えた。
「トロイメアの姫君は、
十五年前に行方不明になったと聞いていたが……？
それに、もう一人の姫君は……」
「夢愛姫は、異世界から戻ってこられたのです。
もう一人の姫君はご存知の通り……」
「どう、なったんですか……？」
『亡くなった。だから、この場には居ないんだよ』
「っ……」
固く握り閉められたシロモフの小さな手。
悲しいのか、悔やんでいるのか、恨めしいのか。
どっちにしろ、
シロモフが気に病むことは無いだろうに。
慰め程度に頭を撫でれば、振り払われた。
……解せぬ。
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作者名：眠子 | 作成日時：2018年11月24日 14時
