STORY.２ ページ3
(夢愛side)
「あ、あの……」
「だ、大丈夫ですか！？ 姫様！」
はっと目を惹く程、綺麗な白髪の青年。
まるで危うい程に儚い彼に、
おずおずと声をかけようとした瞬間。
ナビが心配した様子で駆けてきた。
「だ、大丈夫だよ。ナビ」
「っ良かったです〜……。
ところで……、あなたは……？」
ナビの視線が、目の前の青年へと注がれる。
しかし、青年は、何も答えない儘、
ふと剣を手に取ると背後に振り被った。
瞬間、再び、霧散する闇。
その闇の後ろには複数のユメクイが出現していた。
『ふんふん……、多勢に無勢はズルくない？
えっ、あ、ズルくないって？ まじかよ』
"ジーザス"と、
向かってくるユメクイ達を切り捨てて行く青年。
見た目から勝手に儚い子だと思っていたけど……。
喋るとそうでもないようで(失礼)。
これが、残念系美男子かなと思った(失礼)。
一通り、倒し終えた青年がこちらを振り向く。
そして、"ん、あげる"。と何かを投げられた。
太陽の光に反射するそれを慌てて受け止めれば、
蒼い宝石が埋め込まれた指輪だと分かって。
それを見るなり、ナビが耳を立てた。
「これは、王族の指輪！ なぜ、あなたが……！」
『うん？ 落ちてた』
「そんな、軽く……ッ、まぁ、良いです……。
姫様、その指輪に祈りを込めて下さい！」
「祈りを込めるってどうやって……」
狼狽えつつ、取り敢えず、胸の前で両手を握り込む
目を閉じて、力を込めれば、
瞼の裏が明るくなったのを感じた。
束の間、その光の中から、赤い髪の青年が現れた。
「……俺は？」
「あなたは、アヴィ王子！」
ナビが言うには、
今、私達が居るこの国。
騎士の国、アルストリアの王子様だと言う。
王子様なんて、おとぎ話の中だけのもので……。
目を白黒させていると、
『あの〜、すみませーん』と声が掛かった。
『んー……、ちょい助けて。ヤバみが深い』
一足先にユメクイ達と交戦してくれていた青年。
そんな彼が、今、正に
ユメクイに呑まれようとしている所だった。
口調と、一切変わる事のない表情からして、
危機感を一切感じられないが、
緊急事態なのは一目見て分かる。
「アヴィ王子！」
「あぁ！」
呑まれる青年へと駆けて行くアヴィ王子。
彼が呑まれる寸前。
片手を取ったアヴィ王子は一気に引き抜いた。
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作者名：眠子 | 作成日時：2018年11月24日 14時
