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Story.5 ページ7

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手が早く、芹沼弟に触れる五十嵐を忌々しげに見据えていれば、不意に頬に当てていた手を、ジャージ服に伸ばすと脱がそうとし始めた。


俺は、考える暇もなく、その腕を握った。





「何してんだよ」

「何って……。過呼吸で嫌な汗かいただろうし、左肩とか打っただろうから、早めに処置してあげた方が良いだろ? 何か変か?」

「! い、いや。そうだよな……」





そうだった。

そういえば、コイツ、ものすげぇ勢いで吹き飛ばされたんだった。それも、俺のせいで。



強く握った腕からそっと手を離し、五十嵐にジャージを脱がされていく気絶したままの芹沼弟を生唾を飲んで見つめていると、不意に五十嵐と目があった


ニヤッと嫌な笑みで笑う五十嵐。





「なーな、顔、すげぇ赤くなってる。コイツは腐っても"男"だぞ? 何意識してんだ、バカ」

「はっ!? な、ななな、なに言ってんだよ! い、意識なんかしてる訳ねぇだろ!」

「ははっ、そーかよ」





コツンと軽く小突かれた額を抑えながら、五十嵐の言葉に、慌てて口では反論するも、自分でも顔が熱くなってくるのが分かった。





ふざけんな。



コイツは男。コイツは男。


しかも、根暗だ。



意識なんかするわけねぇだろ。





幾ら心の中でそう念じても、分かっていたとしても、一向に顔の熱が引くことはなかった。





五十嵐にされるがまま(脱がされているだけ)になっている芹沼弟を、なぜか直視出来ずに、顔を逸らした俺の視界にカーテンを開けた人物が映った。





「い、今すぐ、Aから離れて……!」

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アイス - 更新ってもうしないんですか? (2021年8月9日 12時) (レス) id: a3de5516c6 (このIDを非表示/違反報告)
一夜(プロフ) - とても読みやすくて良かったです!今後の展開(主に六見先輩との絡み←)が楽しみです! (2019年10月31日 21時) (レス) id: cff84df643 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:佐伯 | 作成日時:2019年3月3日 21時

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