19話『禁秘の兄弟』(中) ページ29
コハク｢…何が目的ですか…｣
クラウド｢黒インク"補充"の為だ。｣
レイ｢黒インク……俺らにそんなのを求めても俺らは持ってないぞ｣
エイト｢持っている｣
レイ｢…だとしても俺は知らない｣
エイト｢…もうそろそろ来るはずだ｣
レイ｢誰がだよ｣
コハク｢……すごく…嫌な予感がします……｣
エイト｢来い。
……リト。｣
レイ｢！？｣
コハク｢！？｣
エイトがリトの名前を呼んだと同時に背後から何かを感じてコハクとレイは振り返った。
先には、ゲソが真っ黒に染まり、左目が赤く変化したリトがゆっくりとこっちへ歩いてくる。
レイ｢…リ、リト……？｣
コハク｢リトさん…なんですか……？｣
コハクは不意にハイカラシティーの図書館で読んだ｢あの事件｣のことを思い出した。
コハク｢本当に……リトさんは…｣
クラウド｢あぁ！！"もう1人の息子"よ！何と美しい！｣
クラウドは玉座から立ち上がった。
レイ｢もう1人の息子…？？それはどういうことだ！！｣
クラウド｢分からないのか。もの分かりの悪い"長男"だな。｣
レイ｢えっ…長男…？俺は一人っ子じゃ…｣
クラウド｢お前は夏に生まれた。雨が降りやすい季節であることと、｢雲から雨が降る｣こと、俺の"後継者"になるという願いからそう名付けた。お前が生まれた同じ年の秋。別の女からリトを産んだ。つまり、レインとリトは"兄弟"だ。｣
レイ｢…俺とリトが…兄弟……？？｣
コハク｢こんなんじゃ頭が追いつきません…！！｣
リト｢僕と『あいつ』が兄弟…？｣
クラウド｢サンとは本当に愛し合っていた。だから息子にもちゃんと名を付けた。2人目はただの｢研究目的｣にすぎない。｣
レイ｢研究目的…黒インクのことか…｣
コハク｢ハイカラシティーの図書館で読みました…ある村にイカの身体ごと売ろうとする裏商売イカが、その村を襲い、手違いで1人のイカを殺してしまったが故に、村のイカたちのゲソが真っ黒に、目は赤く染まり、怒り狂ってその商売イカを全滅させたって…｣
レイ｢コハク…！？｣
コハク｢まさか、とは思ったんです…時々リトさんの目が赤くなる時があったし、｢目の色｣で調べてるって聞いたから…！…そんな…｣
レイ｢リト…お前…ぐっ！｣
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作者名：こっこ@amuse | 作成日時：2019年7月1日 7時
