安室透の言動がどうしても分からないのですが…誰か取扱説明書をください

episode113 ページ25

零「自分をもっと大切にしてくれ…Aを大切に思う俺のためにも」

貴「え………」

思いもよらない言葉に私は固まる

貴「たい…せつ…って」

驚きすぎて上手に言葉が出ない

零「Aを大切だと思ってはだめか？」

貴「いいえ……いいえっ」

また溢れ出しそうな涙を必死に堪え頭を振る

零「…俺の…話を聞いてくれるか？」

貴「零さんの…？」

零「あぁ」

戸惑い気味の問いかけに零さんは頷いた

零「正直、こんな話をAにするつるつもりは全くなかった

　 何より格好つかない 多分俺に失望するかもしれない」

自嘲気味に笑う彼の言葉を否定したかった

でも私は零さんが思っていることなんて私には分からない

話を聞く前から否定したって説得力はないだろう

それに見て見ないふりをしているみたいで嫌だから

だから私は彼の言葉を待った

零「でも俺はAに正直でありたい」

貴「……！！」

心臓が止まるかと思った

唐突に寄越された言葉に私は硬直する

なんか…すごいことを言われた気がする

心臓はばくばくと早鐘をうちうるさい

でも零さんは特別なことを言った意識はないようで

涼しい顔のまま挙動不審な私を不思議そうに見つめている

1人で盛り上がって恥ずかしいことこの上ない

でも顔がにやけるのを抑えきれなかった

適当に誤魔化せば良いのに彼自身も乗り気でない話をわざわざ話してくれる

そのことがどうしようもなく嬉しかった

零「Aも知っている通り俺は独身で付き合っている人もいない

　 でもそれは職業のせいだとか立場のせいではないんだ」

貴「そう、なんですか？…」

彼の言葉に私は目を丸くした

そして早速予想外の言葉が来た

零さんが独身なのは知っていたけど不自然だと思わなかったわけではない

彼は公安警察だし知識豊富で知らないものはないって感じだし

料理も上手だし……(結局零さんの魅力が数え切れない)

こんな超優良物件が売れ残りとかない、絶対ない

事実、彼を狙う女性は山のようにいる

それでも彼が誰とも付き合わないのは何か理由があるんだろうなと漠然と思っていた

いつ命を落とすか分からない職業上、悲しむ人を作りたくないとか

守るべき対象を増やすのは好ましくないとか

零「学生の頃には彼女がいたこともある、その中でも清楚で気品のある俺には勿体無い女性がいた」

うん、やっぱりいたよね、絶対にモテたよね

過去の話であっても結構辛い


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