検索窓
今日:11 hit、昨日:3 hit、合計:230,790 hit

episode111 ページ23

貴「私は好きな人に好きだとさえ言うことができない」

零さんの目を見つめ私は思いを吐きだした

真っ直ぐに見つめる先、零さんの目が大きく見開かれる

彼の瞳には私の姿が映り込んでいる

肩で息をする私はまるで熱にうかされたような顔をしていた

貴「……!!」

冷や水を浴びせられたように急速に頭が冷えた

一拍遅れで達成感と同時に大きな後悔がやってくる

こんなの……好きと叫んだも同然じゃないか!

貴「……ぅ…あ」

呻きのような声が漏れた

零れ落ちた言葉はもう取り返せない

いっそ気づかないでくれたらと悪足掻きのように願うが

愕然とした零さんの表情を見ればその可能性も崩れ落ちる


真っ直ぐに見つめてくる瞳から視線を逸らせない


全身の血が引くような恐怖がじわりじわりと迫って来る

怖い、逃げ出したいと心から思った


前から私は彼に向ける好意を隠しきれていなかった

というかおそらくバレバレだったと思う

でもそれは憧れだと判断することも可能だった

安室さん目的でポアロに来る女子高生達みたいに…

時期が来れば思い出に変わる恋とも呼べぬような淡い感情だと

だからこそ零さんは私の好意を今まで跳ね除けなかったのだろう

拒絶するまでもなくいつか消えるものだと思っていたから


でも私は今、示してしまった

これは一時だけの熱病ではないと、自ら暴露してしまった


結果、零さんがどういう行動に出るかなんて明らかだ

彼は公安警察

人より国家を優先するような組織に入っている

そんな彼を知っているのに私が恋をしていると分かってしまったら

彼はきっと私の恋を終わりにしてしまう

残酷なまでの優しさで切り捨ててしまう

自分には不要なものだと、勝手に判断して


零「A…」

静かな声が私を呼ぶ


彼から名前を呼ばれるのはいつも嬉しかった

でも今はそれを単純に喜べるほど私はお気楽じゃないし察しも悪くない


いやだ

いやだ、やめてお願い

駄々をこねる子どもみたいにいやいやと何度も頭を振る

困ったように眉を下げる零さんに申し訳ない気持ちがこみ上がるが引き下がる訳にはいかなかった

往生際が悪いと言われても譲れないものがある

零「俺は…」

貴「だめっ!!…」

episode112→←episode110



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (130 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
417人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ララ(プロフ) - salomeさん» コメントありがとうございます!『見たい!』という声をいただくとすごく嬉しいです!もしかしたら出すかも…しれません!わからないですが出す方向で考えて行きたいと思います (2018年12月9日 21時) (レス) id: e0fb4d33ed (このIDを非表示/違反報告)
salome - ボツにした奴見てみたいです後更新待っています (2018年12月8日 19時) (レス) id: 31aa9c013b (このIDを非表示/違反報告)
ララ(プロフ) - マユさん» コメントありがとうございます!今日テスト期間が終わりました!私も多分…ではなく絶対悪いです笑安心してください!仲間ここにいますよ!笑 明日更新しますね!応援ありがとうございます! (2018年11月30日 14時) (レス) id: e0fb4d33ed (このIDを非表示/違反報告)
マユ(プロフ) - テスト頑張ってください。私は先週テストでした。多分点数悪いですがw更新楽しみに待ってます。 (2018年11月25日 21時) (レス) id: 03d4b99ba5 (このIDを非表示/違反報告)
ララ(プロフ) - ゆうみんさん» コメントありがとうございます!最近は忙しく亀更新ですがこれからも読んでいただけるとすごく嬉しいです!是非!楽しみにしていてください! (2018年11月4日 19時) (レス) id: e0fb4d33ed (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ララ | 作成日時:2018年8月29日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。