安室透の言動がどうしても分からないのですが…誰か取扱説明書をください

episode93 ページ3

その日、私は多くの浴衣姿で賑わう人たちの中に紛れ込んでいた

本当に人が多い

そう、今日は花火大会

もう一度言おうか？………花火大会！！(誰も望んでない)

もう朝から興奮が止まらなかった

例えるなら子供が遠足にワクワクしている感じ

もう何をしていても零さんの顔が浮かんでニヤケが止まらなかった

ゴミ出しに行っている最中にでもニヤけが止まっていなかったであろう私は

不審者をみるような目で見られていた

だから今日は誰にもあいさつされなかったのかと今更ながら気づく

さらに加えるとゴミ袋をもってニヤケながら歩いていたのだ

あれ？……もう不審者以外の何者でもない…？



そう思いながらもにやけている私はさらにおかしい

にやけるのを抑えるのに俯いた私は浴衣の襟をすこし直す

浴衣…変じゃないかな…

今更ながら冷静にそんなことを考え始めてしまった

華やかなバラ柄にドットモチーフがあしらった青色の浴衣

髪型はハーフアップが基本となっている進化版らしい

『らしい』というのはもちろん、美容師さんにしてもらったからだ

ググって自分でできるヘアアレンジを探したが

それによって手先が器用ではないことが判明し心が折れた


それに…生まれて初めてこんなに服選びに悩んだ

鏡の前で何度も確認しその度にこの浴衣でいいのかな、と思い悩んでしまう

世の女性はデートの度にこんな気持ちを味わっていたんだなと妙な感慨を覚えた

私の場合デートっていうのか分からないけど

勝手に浮かれているだけだけど！！


浴衣だってそうだ

蘭と園子と…そしてあの子と一緒に買いに行ったのだ

それは1週間前に起こった出来事

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