Story 7 ページ9
『…ねえ、私少し酔ってしまったみたいだわ。少し外に出ません?』
「ええ、もちろん」
ターゲットにそっと身体を寄せると、彼はショコラブラウンの髪色と紫色の瞳に変装したAの腰を引き寄せる。この変態め、心の中で彼女は悪態をつく。
「…ちょっとバーボン…他にも彼を狙う組織が?」
「よく分かりませんが…」
「…でもあの娘…知ってる気がするのよね…」
バーボン――安室と共にその場に来ていたベルモットは、ふむとあごに手を当てて考え込む。彼女は今日、プラチナブロンドを封じ、チョコレートブラウンの髪に、東洋風の顔立ちの美女に変装していた。
「…まあ、彼の頭脳は他の組織も喉から手が出るぐらい欲しいでしょう。彼が極秘に作った薬のデータが入っているメモリーカードも…」
もちろん安室は、あのショコラブラウンの彼女がAである事を知っている。組織の手に渡っては行けないデータを先回りしてFBIが奪う作戦だ。もちろん日本に居る者として、アメリカの輩にデータを奪われるなんて、心外であるがここは致し方ない。ハニートラップが使える者は日本には居ないのだから。
ベルモットはチラとAの方を見てから、くっと安室の腕を自分の胸に寄せた。
「?」
「…OK…今回は仕方ないわね。引きましょう」
何故か急にベルモットは身を引いたのだった。
「ご苦労だった」
「A!!!何もされてない?!」
『…心配しすぎよ、ジョディ。私が何回組織でハニトラを仕掛けたと思っているの』
無事にデータを奪ったAはジェイムズにそれを渡し、変装を解いた。
「だって!あの男、ネチネチとあなたの腰を触っていたじゃない!!!」
『ええ、外に出た瞬間気を失ってもらったから、その後はホテルマンに任せて帰らせていただいたわよ。しばらくの間は起きないでしょうから…』
FBIが滞在するホテルのジョディとのふたり部屋で、Aはドレスを脱ぎ捨てて着替える。
「あー、もう脱ぐの?シュウにも見せたかったのに」
『何で赤井に見せなきゃいけないの』
Aは笑って、コーヒーを淹れようとカップにお湯を注いだ。
(…ねえ、ジョディ…無理しなくていいのよ。貴女は赤井の事が好きなんでしょう…?それに、私は)
ベルモットと目が合った、あの瞬間。彼女の口は弧を描いた。
安室とベルモットがよくコンビを組んでいたのは知っている。知っていたはずなのに、何故。
(…心がうるさい)
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祥子(プロフ) - クローバーさん» ありがとうございます(*^^*)本当にずっと応援してくださいましたね!嬉しいです。もしかしたら、またローズの話を書くかも知れませんが、一旦終わりで笑 (2018年2月16日 18時) (レス) id: 509da0a297 (このIDを非表示/違反報告)
クローバー - 完結おめでとうございます!ちょっとかなしいけど(泣)祥子さんの他の作品も応援してます!! (2018年2月15日 11時) (レス) id: d0ebff26be (このIDを非表示/違反報告)
祥子(プロフ) - aoumi1973さん» ありがとうございます!!暖かいお言葉嬉しいです! (2018年2月11日 20時) (レス) id: 509da0a297 (このIDを非表示/違反報告)
祥子(プロフ) - 笑顔の似合う少女。さん» ありがとうございます!感動していただけるなんて、、、、感動です!笑 (2018年2月11日 20時) (レス) id: 509da0a297 (このIDを非表示/違反報告)
aoumi1973(プロフ) - 完結おめでとうございます。すごくおもしろかったです。まだ、寒い日が続くので、身体に気をつけてください。 (2018年2月11日 19時) (レス) id: 84f816655d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:祥子 | 作成日時:2017年12月31日 11時