検索窓
今日:12 hit、昨日:4 hit、合計:169,187 hit

Story 7 ページ9

『…ねえ、私少し酔ってしまったみたいだわ。少し外に出ません?』
「ええ、もちろん」


ターゲットにそっと身体を寄せると、彼はショコラブラウンの髪色と紫色の瞳に変装したAの腰を引き寄せる。この変態め、心の中で彼女は悪態をつく。



「…ちょっとバーボン…他にも彼を狙う組織が?」
「よく分かりませんが…」
「…でもあの娘…知ってる気がするのよね…」



バーボン――安室と共にその場に来ていたベルモットは、ふむとあごに手を当てて考え込む。彼女は今日、プラチナブロンドを封じ、チョコレートブラウンの髪に、東洋風の顔立ちの美女に変装していた。



「…まあ、彼の頭脳は他の組織も喉から手が出るぐらい欲しいでしょう。彼が極秘に作った薬のデータが入っているメモリーカードも…」



もちろん安室は、あのショコラブラウンの彼女がAである事を知っている。組織の手に渡っては行けないデータを先回りしてFBIが奪う作戦だ。もちろん日本に居る者として、アメリカの輩にデータを奪われるなんて、心外であるがここは致し方ない。ハニートラップが使える者は日本には居ないのだから。



ベルモットはチラとAの方を見てから、くっと安室の腕を自分の胸に寄せた。



「?」
「…OK…今回は仕方ないわね。引きましょう」



何故か急にベルモットは身を引いたのだった。









「ご苦労だった」
「A!!!何もされてない?!」
『…心配しすぎよ、ジョディ。私が何回組織でハニトラを仕掛けたと思っているの』



無事にデータを奪ったAはジェイムズにそれを渡し、変装を解いた。



「だって!あの男、ネチネチとあなたの腰を触っていたじゃない!!!」
『ええ、外に出た瞬間気を失ってもらったから、その後はホテルマンに任せて帰らせていただいたわよ。しばらくの間は起きないでしょうから…』



FBIが滞在するホテルのジョディとのふたり部屋で、Aはドレスを脱ぎ捨てて着替える。



「あー、もう脱ぐの?シュウにも見せたかったのに」
『何で赤井に見せなきゃいけないの』



Aは笑って、コーヒーを淹れようとカップにお湯を注いだ。







(…ねえ、ジョディ…無理しなくていいのよ。貴女は赤井の事が好きなんでしょう…?それに、私は)



ベルモットと目が合った、あの瞬間。彼女の口は弧を描いた。



安室とベルモットがよくコンビを組んでいたのは知っている。知っていたはずなのに、何故。







(…心がうるさい)

Story 8→←Story 6



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (243 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
662人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

祥子(プロフ) - クローバーさん» ありがとうございます(*^^*)本当にずっと応援してくださいましたね!嬉しいです。もしかしたら、またローズの話を書くかも知れませんが、一旦終わりで笑 (2018年2月16日 18時) (レス) id: 509da0a297 (このIDを非表示/違反報告)
クローバー - 完結おめでとうございます!ちょっとかなしいけど(泣)祥子さんの他の作品も応援してます!! (2018年2月15日 11時) (レス) id: d0ebff26be (このIDを非表示/違反報告)
祥子(プロフ) - aoumi1973さん» ありがとうございます!!暖かいお言葉嬉しいです! (2018年2月11日 20時) (レス) id: 509da0a297 (このIDを非表示/違反報告)
祥子(プロフ) - 笑顔の似合う少女。さん» ありがとうございます!感動していただけるなんて、、、、感動です!笑 (2018年2月11日 20時) (レス) id: 509da0a297 (このIDを非表示/違反報告)
aoumi1973(プロフ) - 完結おめでとうございます。すごくおもしろかったです。まだ、寒い日が続くので、身体に気をつけてください。 (2018年2月11日 19時) (レス) id: 84f816655d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:祥子 | 作成日時:2017年12月31日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。