バイト歴 第29回 ページ33
天月side
僕が氷枕を持ってきた時、彼女は俯いて何かを考えているようだった
とても深刻そうに、綺麗な瞳を細めていた
訝しく思ったけれど、あまり首を突っ込むことではない思い、
何気ないふりをして、氷枕を手渡した
明日、病院に一緒に行くからと伝えれば、申し訳なさそうにしながらも
熱で疲労していたのか、すぐに眠ってしまった
翔「どうしてあそこにいたんだろう……？」
小さく息をもらす寝顔を眺めながら考えた
赤く染まった頬は、まだ熱を持っていた
ひとり暮らしなのかな
なんで酷くなるまで病院に行かなかったのかな
……行けなかったのかな
特別な事情があるのかな
いろいろ考えを巡らすうちに僕のまぶたもゆっくり閉じていった
翌朝、いつもより早く起きて、彼女のために朝食を作る
途中、猫に妨害されたけどなんとか……
そろそろという具合で、彼女も目覚めたようだ
『お、おはようございます……』
相変わらず頬は赤いけど、それでも昨日よりずっと楽そうだ
翔「おはよ！ここ座って？ご飯食べよう」
こくりと頷き、恐る恐る歩んでくる
『ごめんなさい、お世話かけてしまって』
翔「いいのー！早くしないと病院混んじゃう」
いただきます、と手を合わせゆっくり食べ始める
遠慮からかときどき手を止めているから、間をもたせるために話しかけた
翔「ねぇ、君の名前は？」
『あー、Aです…名乗らずにごめんなさい』
翔「Aっていうんだ、可愛いね！」
いえ…、とAさんはまた視線を下に落とした
ほどなく朝ごはんを終え病院へ行くことにした
……行こうとした
『やっぱり申し訳ないです…赤の他人なのに』
案外、Aさんは頑固で、いよいよという時に拒んできた
『これ以上、迷惑かける訳には……』
翔「だーかーら！迷惑もなにも当たり前のことだから！」
『………………はい』
散々言い合ってやっと説得できた
しかし、やはり悩むようで車内でもチラチラ様子を伺っていた
そうなると僕も気になる！
翔「ね、君はどうしてそんなに人に関わられる事を拒むの？」
『……話していいんですか』
思ったのと違う返答に若干戸惑いつつ、先を促した
『私は存在してたら行けないんです』
『私みたいな人は、さっさといなくなるべきなんです』
『もうこれ以上誰かを、自分を傷つけたくないんです』
Aさんの口から紡がれる言葉は想像と全く違っていて僕は唖然とした
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雨夢(プロフ) - ふとんさん» ふとんさんありがとうございます！ここからどんどんクライマックスに向かってきますよ〜！閲覧ありがとうございます！ (2021年4月8日 18時) (
レス) id: 4203c96784 (このIDを非表示/違反報告)
ふとん - なんかシリアスになってきたッッッ！ (2021年4月8日 15時) (レス) id: 849ea30030 (このIDを非表示/違反報告)
雨夢(プロフ) - おもちてゃん。さん» おもちてゃんさんコメントありがとうございます！あっ、え、えと…ハンカチ入ります？？？？← 読んでいただきありがとうございます！ (2021年4月8日 7時) (レス) id: 4203c96784 (このIDを非表示/違反報告)
おもちてゃん。(プロフ) - えっあの過去編見てたら目から出てくる汗止まんないんですけど？？？(誉めてます) (2021年4月7日 23時) (レス) id: 9b4a9a9308 (このIDを非表示/違反報告)
雨夢(プロフ) - Lunaさん» Lunaさんコメントありがとうございます！ドキドキさせられて私は内心ニヤニヤです← 最後まで更新頑張るのでどうかお付き合いください(´ω｀) (2021年4月5日 11時) (レス) id: 4203c96784 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨夢 | 作成日時：2019年3月10日 12時
