10-9 黒士舘戦―バッテリー―(2) ページ39
無死満塁、バッターボックスには四番打者。
チームの主砲である四番打者に対し、外野に抜けさえすれば大量得点に繋がる超前進守備を敷くことは、相手に対する挑発以外の何でもない。
案の定、打者はバッターボックスでギリギリと歯を噛み締めている。
こうして整えられた舞台で…沢村は、フーッと大きく息を吐き、投球モーションに入った。
投じられた四番打者への初球は…大きくインハイへ。
打者が身を逸らして避け、クリスも捕球しきれず、バチッとミットに当たったボールが宙に舞った。
それを見た三塁ランナーがホームを伺うが、クリスが素早くボールの後ろに回り込み、視線でランナーを制する。
そして…運命の二球目。
足を高く上げてから沢村が投じたボールは、Aから見る限り高さもコースもど真ん中で…打者がそれを見逃すはずはなく、力強いスイングで打ちにいった。
ガコッ!
「うわっ、ひっかけた!」
バットの芯で捉えきれなかった打球は、ホームベースの1メートルほど先でバウンドし、それを見たランナーが一斉にスタートする。
高くはずんだ打球に、際どいプレーになるかと思われたが…セカンドの春市が飛び上がって素手でキャッチし、そのまま空中でホームへ送球した。
「うおおお…空中でのキャッチ&スロー!!」
「ホームでのフォースアウト!!ふせぎやがったこの場面!!」
ギャラリーから歓声が漏れる中、春市からの送球を受けたクリスは、素早く一塁へ送球する。
超前進守備を敷いていたため、一塁には誰もいないのではと思われたが…
パァンッ!
「なにィ!?ライトが一塁のカバーに!?」
「マジかよ!!4―2―9のホームゲッツー!?」
「まさか…最初からこれを狙ってやがったのか?」
「つーか、あの投手が一番驚いてるぞ…」
「
予想もしていなかった展開に、ギャラリーは一気に色めき立った。
Aも口を半分開いてグラウンドを見つめる。
…と、その視線の先で次の五番打者へ沢村が投球し、クリスが捕球した___直後。
ヒュッ、とクリスが流れるような動きで三塁へ牽制球を投げた。
「う、うおっ…」
「ホームを意識したランナーに、電光石火の牽制球!!ランナーかえれず!!」
「無死満塁が一瞬にしてつぶれやがった!」
「あのキャッチャーが入って一気に流れが変わってねーか!?」
青道と黒士舘の両ベンチは、この展開を呆然としながら見つめていた。
10-10 黒士舘戦―クリスを見つめる人(1)―→←10-8 黒士舘戦―バッテリー―(1)
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雪星(プロフ) - れいちぇるさん» こんばんは(^-^)/私も大好きです~(≧▽≦)なので気合い入れて書いてます(^^;はい、これからも頑張りますね!暫く原作丸写し気味な試合描写が続いてしまいますが…(^^; (2015年9月27日 19時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
れいちぇる - こんばんは。 この、クリス先輩がプレーするところ大好きです!!感動です!!!(´;∀⊂) これからも更新頑張ってください!! (2015年9月27日 0時) (レス) id: fe9e519966 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - *モッチー*さん» *モッチー*さん、初めましてこんばんは(^-^)/…うぉぇっ!?ぜ、全部ですか!?うわー、うわー、なんか恥ずかしくてワタワタしております(^^;でも嬉しいですありがとうごさいます(≧▽≦)はい、これからも頑張りますねー(^-^)/ (2015年9月1日 19時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
*モッチー*(プロフ) - 初めましてε(*゚∇゚*)ノ゙雪星さんの作品がどれも大好きで全部読んでいます! 春っちと初めて会話シーンみて、ついニヤニヤしてしまいました(笑)これからも頑張って下さい(´∀`*) (2015年8月31日 21時) (レス) id: 2a54e6e35a (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - まもたんさん» スッキリしていただけたようでよかったです(>_<)応援ありがとうございます(*^^*)はい、頑張りますね(^-^)/ (2015年8月24日 21時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪星 | 作成日時:2015年8月22日 12時