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10-4 黒士舘戦―沢村―(3) ページ34

一塁手の前園に大声で答えたあと、沢村はマウンドで目を閉じて大きく息をついた。

『悔いの残らないピッチングをしろよ、沢村…』

『まずは沢村君が…自分の力を全部出し切らなきゃね。どんな形にしろ、クリス君は見てくれてると思うから…』

脳裏に、クリスとAの言葉がそれぞれ甦ってくる。
結論から言うと、Aの仮説は当たっていた。
沢村は、約一週間前に監督から与えられたヒントを元に新しい投球フォームを考え、シャドーピッチングでそれを練習していたのだ。
実際にその新しいフォームでボールを投げるのは今日が初めてで、ぶっつけ本番で試合に臨んでいるわけである。


焦るな…自分の力を出し切るんだろ。

自分にそう言い聞かせて、沢村は目を開けた。
右手の壁と体のタメを意識して投げる新しいフォームは、やはりシャドーピッチングの時とは少し感覚が違い、コントロールが定まらない。
早くシャドーの時のような『いい感じ』を掴まなければ。

スリーボール、ノーストライクとなっている二番打者へ向かい、沢村は投球モーションに入った。

もっと力強く…

もっと早く…

右手の壁を意識し、下半身から伝わるエネルギーを左腕に乗せ、思いっきり振り抜く!

ビターン!

結果、四球目は打者の臀部へデッドボールとなった。

「オイオイ何やってんだ佐々木〜!!」

「避けられねぇボールじゃねぇだろ?」

黒士舘ベンチから、笑い混じりの野次が飛ぶ。

「すいやせん。」

沢村は帽子を取り、自分がボールをぶつけてしまった打者に一礼した。

「いきなりのフォアボールにデッドボール…」

「もう代えてもいいんじゃねぇかアイツ…」

ギャラリーからため息とともにそんな声が漏れていた時。
青道ベンチでは、高島が監督に話しかけ、クリスがそれに驚いた表情を見せたあと、ギリ、と歯を食いしばってから監督へ話しかけていた。

10-5 黒士舘戦―クリス―(1)→←10-3 黒士舘戦―沢村―(2)



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作品ジャンル:アニメ
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雪星(プロフ) - れいちぇるさん» こんばんは(^-^)/私も大好きです~(≧▽≦)なので気合い入れて書いてます(^^;はい、これからも頑張りますね!暫く原作丸写し気味な試合描写が続いてしまいますが…(^^; (2015年9月27日 19時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
れいちぇる - こんばんは。 この、クリス先輩がプレーするところ大好きです!!感動です!!!(´;∀⊂) これからも更新頑張ってください!! (2015年9月27日 0時) (レス) id: fe9e519966 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - *モッチー*さん» *モッチー*さん、初めましてこんばんは(^-^)/…うぉぇっ!?ぜ、全部ですか!?うわー、うわー、なんか恥ずかしくてワタワタしております(^^;でも嬉しいですありがとうごさいます(≧▽≦)はい、これからも頑張りますねー(^-^)/ (2015年9月1日 19時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
*モッチー*(プロフ) - 初めましてε(*゚∇゚*)ノ゙雪星さんの作品がどれも大好きで全部読んでいます! 春っちと初めて会話シーンみて、ついニヤニヤしてしまいました(笑)これからも頑張って下さい(´∀`*) (2015年8月31日 21時) (レス) id: 2a54e6e35a (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - まもたんさん» スッキリしていただけたようでよかったです(>_<)応援ありがとうございます(*^^*)はい、頑張りますね(^-^)/ (2015年8月24日 21時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雪星 | 作成日時:2015年8月22日 12時

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