9-3 買い出し(2) ページ25
青道高校を出てからビン底メガネを外し、買い出しに向かったAは、メモに書かれていた品を買って回り、最後の一つをドラッグストアの売り場で見つけて手を伸ばした。
するとその時、鞄の中でスマホが長めに震え、着信を知らせる。
取り出してみると、先ほど登録したばかりの御幸の名前が表示されていた。
「…もしもーし。」
『あ、俺。』
「…そうだろうね…」
『今練習終わってさ。Aちゃん、今どこ?』
「駅前のドラッグストア。」
『マジ?ちょうど良かった。その近くのビルにデカいスポーツ用品店が入ってるんだけどわかる?』
「あぁ、うん、わかるよ。」
『んじゃそこで待ち合わせな♪』
「はいはい。」
通話を終え、Aは軽くため息をつきながら商品を手に取り、レジへと向かった。
何だか今日は御幸にいいように振り回されている気がする。
なんだかんだで携帯の番号を交換させられ、買い物に付き合わされるとは…。
「…私、もしかして押しに弱いのかな…」
歩みは止めずに、Aは眉を寄せてボソッと呟いた。
涼子に頼まれた買い出しを終え、Aは御幸が言ったスポーツ用品店にやってきた。
この店のどこで待ち合わせなのかまでは言っていなかったが…やはり御幸が買うものといえば、野球用品関係だろう。
そう考えて、Aは野球用品が並んでいる棚の前までやってきた。
真新しいグローブから、革の匂いが漂ってくる。
高校時代は毎日見ていたグローブやバットやボール。
懐かしさを感じながら見て歩いているうちに好奇心を抑えられなくなり、Aはグローブを手に取り、はめてみた。
「…うわ、やっぱ固いなー…」
左手を動かしてグローブを開いたり閉じたりしてみるが、まだ誰にも使われていないそのグローブは、ぎこちない開閉を繰り返した。
パンパン、と、右手で拳を作ってグローブの中を叩いていると…
「固いでしょ。」
「わぁっ!!」
急に耳元で声がして、Aは思わず声を上げてしまった。
右手で口元を押さえながら振り返ると、後ろでTシャツにカーゴパンツに黒縁メガネの御幸がニヤリと笑っている。
「…気配消して近付かないでよ…」
「Aちゃんがグローブに夢中だったからだろ。」
はははっ、と笑っている御幸を一睨みしてから、Aはグローブを棚に戻した。
「…で?何買うの?」
「とりあえず…マニキュア。」
「マニキュア?」
男子高校生から出るとは思わなかった単語を聞いて、Aは思わず聞き返した。
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雪星(プロフ) - れいちぇるさん» こんばんは(^-^)/私も大好きです~(≧▽≦)なので気合い入れて書いてます(^^;はい、これからも頑張りますね!暫く原作丸写し気味な試合描写が続いてしまいますが…(^^; (2015年9月27日 19時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
れいちぇる - こんばんは。 この、クリス先輩がプレーするところ大好きです!!感動です!!!(´;∀⊂) これからも更新頑張ってください!! (2015年9月27日 0時) (レス) id: fe9e519966 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - *モッチー*さん» *モッチー*さん、初めましてこんばんは(^-^)/…うぉぇっ!?ぜ、全部ですか!?うわー、うわー、なんか恥ずかしくてワタワタしております(^^;でも嬉しいですありがとうごさいます(≧▽≦)はい、これからも頑張りますねー(^-^)/ (2015年9月1日 19時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
*モッチー*(プロフ) - 初めましてε(*゚∇゚*)ノ゙雪星さんの作品がどれも大好きで全部読んでいます! 春っちと初めて会話シーンみて、ついニヤニヤしてしまいました(笑)これからも頑張って下さい(´∀`*) (2015年8月31日 21時) (レス) id: 2a54e6e35a (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - まもたんさん» スッキリしていただけたようでよかったです(>_<)応援ありがとうございます(*^^*)はい、頑張りますね(^-^)/ (2015年8月24日 21時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪星 | 作成日時:2015年8月22日 12時