9-2 買い出し(1) ページ24
「涼子さーん。お待たせー。」
「あっ、A。ごめんなさいね、急に。」
「いいよ。今日は特に用事ないし。」
「こんなこともあろうかと、Aのアパート近くにしておいて良かったわー。」
「…こういうこと想定してたの?」
食堂に顔を出したAは、にっこり笑いながら言われた涼子の言葉に力なく笑った。
『涼子さんの親戚だけあって、あなたも中々いい性格してますよね』
先ほどのクリスの言葉が甦るが、絶対に涼子ほどではないと思う。
…ないと、思いたい。
「次の納品までに間に合いそうにない物がチラホラあったのよ。これ、メモに書いておいたから。」
そう言って、涼子はAに小さなメモ用紙を渡した。
ざっと目を走らせると、4品ほどの品名が書かれていて、どれも大したものではないが2、3軒ハシゴすることになりそうだ。
「…ん、了解。今すぐ必要なものってある?」
「今すぐと言うか、今日中、って感じね。焦って帰ってくる必要はないわ。」
「わかった。」
そう言うと、Aは涼子からお金を受け取り、食堂を後にした。
Aが再びグラウンド前を通り、校門へ向かっていると、前からレガースだけをつけた御幸が歩いてくる。
「あれ?Aちゃん、今日バイトの日だったっけ?」
「いや、違うんだけど、涼子さんに買い出しだけ頼まれたの。」
「ふーん。…待てよ、買い出し?」
そう言うと、御幸は顎に手を当てて何やら考え始めた。
「…何?どうしたの?」
「…Aちゃん、その買い出し終わるの何時ぐらい?」
「え?…あぁ、2、3軒ハシゴしそうだから、今から行って…1時間ちょっとくらいかな。」
「7時ぐらいか…今携帯持ってる?」
「…?持ってるけど…」
御幸の意図が読めず、Aは頭の上に疑問符を浮かべながら答えた。
すると、御幸が黙って片手を出す。
首を傾げつつ、自分のスマホをその手に載せると、御幸が何やらぱぱっとタップして、すぐにAに返した。
「今、俺の携帯にかけたから、発信履歴から登録しといてよ。」
「…う、うん…」
「俺も買いたいものあってさ。練習終わったら一回連絡するから、その時まだ買い出し中だったら俺の方にも付き合ってよ。」
「…はい?」
「んじゃ、あとで!」
「え?あ、ちょ、御幸く…」
Aの返事を聞かず、御幸は片手を上げて走って行ってしまった。
中途半端なAの呼び掛けが、グラウンドの喧騒の中に消えていった。
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雪星(プロフ) - れいちぇるさん» こんばんは(^-^)/私も大好きです~(≧▽≦)なので気合い入れて書いてます(^^;はい、これからも頑張りますね!暫く原作丸写し気味な試合描写が続いてしまいますが…(^^; (2015年9月27日 19時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
れいちぇる - こんばんは。 この、クリス先輩がプレーするところ大好きです!!感動です!!!(´;∀⊂) これからも更新頑張ってください!! (2015年9月27日 0時) (レス) id: fe9e519966 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - *モッチー*さん» *モッチー*さん、初めましてこんばんは(^-^)/…うぉぇっ!?ぜ、全部ですか!?うわー、うわー、なんか恥ずかしくてワタワタしております(^^;でも嬉しいですありがとうごさいます(≧▽≦)はい、これからも頑張りますねー(^-^)/ (2015年9月1日 19時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
*モッチー*(プロフ) - 初めましてε(*゚∇゚*)ノ゙雪星さんの作品がどれも大好きで全部読んでいます! 春っちと初めて会話シーンみて、ついニヤニヤしてしまいました(笑)これからも頑張って下さい(´∀`*) (2015年8月31日 21時) (レス) id: 2a54e6e35a (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - まもたんさん» スッキリしていただけたようでよかったです(>_<)応援ありがとうございます(*^^*)はい、頑張りますね(^-^)/ (2015年8月24日 21時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪星 | 作成日時:2015年8月22日 12時