8-6 夜のグラウンド ページ17
この日のアルバイトが終わり、Aがアパートへ帰るべく青心寮からグラウンドの方へ移動してきた時。
真っ暗なグラウンドから、誰かの声が聞こえてきた。
「わははははー!奪えるもんなら奪ってみろー。」
「こっちにもっと大きいのあった…」
「なにィ!!」
聞き覚えのある声に目を向けると、タイヤの穴に体を通して抱え上げている沢村と、自分が見つけたらしいタイヤを転がしている降谷がいた。
「テメェには絶対負けーん!!3コで勝負だぁー!!」
「1コで十分だよ。」
なぜかタイヤを3個も引っ張り出す沢村に対し、降谷は転がしていたタイヤについているゴムに体を通して、1個だけ引っ張って走り始める。
先に走り始めた沢村が、得意気に振り返った。
「どうだぁー!俺についてこれるかなぁ!?」
「遅…」
「あぁ!俺を置いてくなー!!」
沢村も降谷も、今日は強制的にマウンドを降ろされている。
落ち込んでいるかと思ったが…どうやら大丈夫らしい。
「…同学年のライバル、か。お互い、いい刺激になるといいね…」
Aがそう呟いた時。
「…確かに、切磋琢磨する相手は必要でしょうね。」
背後からいきなり声をかけられ、Aは驚いて振り返った。
「…クリス君…」
Aの背後からゆっくりと歩いてきたクリスは、チラッとAを見たあと、グラウンドへと目を向ける。
「…どこにいても騒がしいヤツですね…沢村は。」
「…うん。そうだね。」
クリスに続けてグラウンドへ目を戻しながら、Aは同意した。
「沢村君、クリス君が出した宿題の答え、まだ見つけられてないみたいだね。」
「…そうですね…今日は間違った答えを実践しようとして打ち込まれました。…が、これもアイツには必要な過程だと思います。」
その声音に、今までとは違う響きを感じ、Aはふとクリスを見上げる。
その顔は相変わらず無表情なのだが…沢村を見つめる目は、心なしか和んでいるようにも見えた。
「…クリス君…なんか、『先輩』の顔になってきたね。」
Aにかけられた言葉が意外だったのか、クリスは軽く目を見開きながらAを見つめ返した。
Aはニッと笑うと、クリスの肩をポンと
叩く。
「お疲れ様!じゃあね!」
そう言って、Aはグラウンドに背を向けて帰路についた。
クリスはジャージのポケットに手を突っ込んだまま、Aの後ろ姿を見送っていた。
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雪星(プロフ) - れいちぇるさん» こんばんは(^-^)/私も大好きです~(≧▽≦)なので気合い入れて書いてます(^^;はい、これからも頑張りますね!暫く原作丸写し気味な試合描写が続いてしまいますが…(^^; (2015年9月27日 19時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
れいちぇる - こんばんは。 この、クリス先輩がプレーするところ大好きです!!感動です!!!(´;∀⊂) これからも更新頑張ってください!! (2015年9月27日 0時) (レス) id: fe9e519966 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - *モッチー*さん» *モッチー*さん、初めましてこんばんは(^-^)/…うぉぇっ!?ぜ、全部ですか!?うわー、うわー、なんか恥ずかしくてワタワタしております(^^;でも嬉しいですありがとうごさいます(≧▽≦)はい、これからも頑張りますねー(^-^)/ (2015年9月1日 19時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
*モッチー*(プロフ) - 初めましてε(*゚∇゚*)ノ゙雪星さんの作品がどれも大好きで全部読んでいます! 春っちと初めて会話シーンみて、ついニヤニヤしてしまいました(笑)これからも頑張って下さい(´∀`*) (2015年8月31日 21時) (レス) id: 2a54e6e35a (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - まもたんさん» スッキリしていただけたようでよかったです(>_<)応援ありがとうございます(*^^*)はい、頑張りますね(^-^)/ (2015年8月24日 21時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪星 | 作成日時:2015年8月22日 12時