8-2 謝罪 ページ13
涼子に捕まっている沢村を置き去りにし、Aは笑いながら食堂を出た。
スタッフルームのゴミを回収するべく鼻歌混じりに2階への階段を登り、通路に出た時。
左側からやってきた誰かと鉢合わせし、半笑いのまま顔を上げると…その人物は、二日前、Aが一方的に言いたい放題ぶちまけてしまったクリスだった。
ここでクリスに合うとは全く予想していなかったAは、カチーン、と半笑いのまま数秒固まった。
二日前のあの時は、感情が高ぶっていたせいもあり、クリスの気持ちも聞かずに生意気なことを言ったと思う。
何らかの形で謝ろうとは思っていたものの、現時点では上手く考えがまとまっておらず、心の準備もできてないこの状態で顔を合わせてしまっては…もうどうすればいいのかわからない。
「…ク、クリス、君…」
が、会ってしまったものは仕方がない。
ペコン、と、Aは勢いよく直角に腰を折った。
「…この前は、ごめんなさい。」
頭を下げたまま、Aは続けた。
「クリス君の気持ちも考えず、私の考えばっかり押し付けて…」
とにかく、謝らなければ。
あの時ぶつけた気持ちに嘘はないが、あまりに一方的過ぎた。
…と、そのAを静かに見つめていたクリスが、小さく息をついたあと、ゆっくりとAに声をかけた。
「…頭を上げてください…」
そう言われて、Aはおそるおそる顔を上げる。
目の前のクリスは、いつもと変わらない無表情だが…少なくても怒っている様子はない。
「…確かに、一方的に言われはしましたが…」
「ご、ごめんなさい…」
「…あなたの言ったことも…一理ありますから…」
静かに告げるクリスに、Aは軽く目を見張った。
「…少なくとも、あなたなりに俺のことを思って言ってくれたことは…伝わってきました。」
「…ほんとに?」
「多少、腹は立ちましたが。」
「す、すみません…」
「ずけずけと言われる方の身にもなってください。」
「ほんとすみません…」
「大人になれてないのは、あなたも一緒ですよね。」
「…返す言葉もゴザイマセン…」
Aは項垂れながら謝罪の言葉を繰り返した。
ぐさぐさとクリスの言葉が胸に刺さるが、自業自得なのでどうしようもない。
しかし、これではどちらが年上かわからないではないか。
「…まぁ、でも…」
しゅん、と肩を落とすAにそう言うと、クリスは少し前に進み、Aの真横に並んだ。
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雪星(プロフ) - れいちぇるさん» こんばんは(^-^)/私も大好きです~(≧▽≦)なので気合い入れて書いてます(^^;はい、これからも頑張りますね!暫く原作丸写し気味な試合描写が続いてしまいますが…(^^; (2015年9月27日 19時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
れいちぇる - こんばんは。 この、クリス先輩がプレーするところ大好きです!!感動です!!!(´;∀⊂) これからも更新頑張ってください!! (2015年9月27日 0時) (レス) id: fe9e519966 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - *モッチー*さん» *モッチー*さん、初めましてこんばんは(^-^)/…うぉぇっ!?ぜ、全部ですか!?うわー、うわー、なんか恥ずかしくてワタワタしております(^^;でも嬉しいですありがとうごさいます(≧▽≦)はい、これからも頑張りますねー(^-^)/ (2015年9月1日 19時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
*モッチー*(プロフ) - 初めましてε(*゚∇゚*)ノ゙雪星さんの作品がどれも大好きで全部読んでいます! 春っちと初めて会話シーンみて、ついニヤニヤしてしまいました(笑)これからも頑張って下さい(´∀`*) (2015年8月31日 21時) (レス) id: 2a54e6e35a (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - まもたんさん» スッキリしていただけたようでよかったです(>_<)応援ありがとうございます(*^^*)はい、頑張りますね(^-^)/ (2015年8月24日 21時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪星 | 作成日時:2015年8月22日 12時