7-7 瞬く光 ページ11
ようやく手に入れた、心の平穏。
焦ることも、苦しむこともない静かな日々。
…それがニセモノであることぐらい、わかっていたけれど。
このまま、昨日と同じ今日が繰り返されていくのだろう。
そう、思っていたのに…
『どうしてさっきから…辛そうな顔してるの?』
思えば、一番最初に自分の心に波風を立てたのもあの人だった。
見ないようにしていたのに
気付かないフリをしていたのに
選手としての道を…弱々しい光の存在を、思い出させた。
『だったら…中途半端に諦めてないで、最後まで自分の気持ちを貫き通して見せなさいよ!!』
そして…体全体に響き渡ったあの言葉。
あの人の言葉は、どうしてこうも自分の心を揺さぶるのだろう。
『たった3年間の高校生活を、あとになって後悔して欲しくない。みんなと一緒に、笑って卒業して欲しい。…クリス君…もう自分を責めるのはやめて、前に進もうよ』
本当に、あなたという人は…
まさかそこまで考えていたなんて。
自分が考えることを放棄していた未来を…しかも、自分の想像よりさらに先の未来を、目の前に広げて見せた。
言われなくても…後悔などしたくない。
ともに戦ってきた仲間と一緒に、笑って引退したい。卒業したい。
そのためには…
ニセモノの平穏から、抜け出さなければならない。
ギュッ、と、クリスは左手で自分の右肩を掴んだ。
怖くても
辛くても
自分が情けなくて許せなくても
もう一度、あの光が差す方へ
「…進め、ということか…」
クリスは歩みを止めると、ゆっくりと空を仰いだ。
いつの間にか雲が晴れてきており、空には星が瞬いている。
感情の嵐で大荒れだった心に、星の光が優しく染み込んだ。
もしかしたら…自分は待っていたのかもしれない。
前へ進めと、背中を押してもらうのを。
「…失ったものばかり追いかけて嘆くのは…もう、終わりにしなければな…」
例え弱々しくても、自分を導く光は、確かにあるのだから。
…と、その時クリスは、自分が偶然見つめていた星の正体に気付き、僅かに瞳を和らげた。
「…そうか…顔を上げなければ、道標が見えるはずもなかったな…」
クリスの視線の先には、古来から方角を知るための指標となっていた重要な星…北極星が輝いていた。
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雪星(プロフ) - れいちぇるさん» こんばんは(^-^)/私も大好きです~(≧▽≦)なので気合い入れて書いてます(^^;はい、これからも頑張りますね!暫く原作丸写し気味な試合描写が続いてしまいますが…(^^; (2015年9月27日 19時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
れいちぇる - こんばんは。 この、クリス先輩がプレーするところ大好きです!!感動です!!!(´;∀⊂) これからも更新頑張ってください!! (2015年9月27日 0時) (レス) id: fe9e519966 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - *モッチー*さん» *モッチー*さん、初めましてこんばんは(^-^)/…うぉぇっ!?ぜ、全部ですか!?うわー、うわー、なんか恥ずかしくてワタワタしております(^^;でも嬉しいですありがとうごさいます(≧▽≦)はい、これからも頑張りますねー(^-^)/ (2015年9月1日 19時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
*モッチー*(プロフ) - 初めましてε(*゚∇゚*)ノ゙雪星さんの作品がどれも大好きで全部読んでいます! 春っちと初めて会話シーンみて、ついニヤニヤしてしまいました(笑)これからも頑張って下さい(´∀`*) (2015年8月31日 21時) (レス) id: 2a54e6e35a (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - まもたんさん» スッキリしていただけたようでよかったです(>_<)応援ありがとうございます(*^^*)はい、頑張りますね(^-^)/ (2015年8月24日 21時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪星 | 作成日時:2015年8月22日 12時