【小湊春市と風邪薬2《悪市出現編》】★ ページ27
いつの間にか空になっていた私と春市君のコップに、ペットボトルから麦茶を注いでいた時だった。
くしゅん!
と、春市君がくしゃみをした。
やっぱり風邪だなぁ、なんて思っていると…
「Aせーんぱい♪」
正面から、やけに明るい声がした。
顔を上げると、いつも以上にニコニコと微笑んでいる春市君がいる。
「は、春市…君?」
な、何だろう…ガラッと雰囲気が…変わったような…。
その春市君は、微笑みを浮かべたままイスから立ち上がり…
「ねぇ、A先輩。今って…二人っきり、ですよね。」
「…そ、そうだけど…」
ゆっくりと机を回り込んで、私へと近付いてくる。
「可愛い先輩と二人っきり。ふふっ、ダメだなぁ。こういう状況になっちゃうと、どうしても…」
ズイッと上半身を屈め、机に片手をついて、春市君はイスに座っている私の顔を覗き込んだ。
「いぢめたくなっちゃう。」
……は!?
ちょ、ちょっと待って…え?
こ、これは…一体誰!?
「兄貴も他の先輩達も、何やってんのかなぁ。こんなに可愛い人をほっとくなんて。」
春市君はクスッと笑いながら、長い前髪の間から妖しい光を宿した瞳で私を見つめてくる。
その距離、鼻先15センチほど…
「は、春市君…!ちち、近いってば…!」
「顔赤くしちゃって…。かーわいい。こういうことされるの…慣れてないんですか?」
「な、慣れて…いや、そうじゃなくて…!」
「そういう顔されると、ますますいぢめたくなるんですよね…」
そう言うと、春市君はさらに体を屈め、私の耳元で囁いた。
「A先輩とのキスは、どんな味がするのかなぁ?」
「っ!?」
春市君の温かい息が耳にかかって、ゾワッと鳥肌が立つ。
…ヤ、ヤバイヤバイヤバイ!!
「…きっと…シュークリームよりずぅっと甘いですよ。とろけそうなくらい、ね…」
春市君は再び私の顔を覗き込むと…
「試して、みます?」
妖艶な微笑みを浮かべて、そう言った。
そしてそのまま、完全に固まってしまっている私に顔を近付けてきて…
「……あ、ヤバ……」
くしゅん!
「……あれ?僕、いつの間に立ち上がって…」
キョロキョロと辺りを見回しながら、春市君が不思議そうに呟いた。
私は詰めていた息を吐きながら、春市君にゆっくり問いかける。
「……春市君。亮介から貰った薬、まだ残ってる?」
「えっ?…あ、はい…」
「それ今すぐ没収!絶対没収!」
「えっ?えっ?ど、どうしたんですか?」
「悪市出ちゃうから没収ー!!」
【小湊亮介のごまかし方】★※「春市と風邪薬」から続けてお読みください→←【小湊春市と風邪薬1《癒しの時編》】★
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暇人 - フランス革命さん» ちゃんと読んでなくて草。中学生ではないネタ何個もあるのに。 (1月6日 11時) (レス) id: 9409c0bbe7 (このIDを非表示/違反報告)
味塩 - すごく好みで面白かったです!!ギャグ夢大好きで、夢主のノリも理想通りで本当に最高でした…!全シリーズ読んだのですがまた最初から読みたくなっちゃいました。どれもそのキャラらしさが出ていて本当に面白いです (2022年10月27日 1時) (レス) id: 2296c25889 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん丸(プロフ) - もう、すごく面白くて、大笑いしました。亮介さんLoveなので、本当はこのキャラでの長編が読みたいですが、続きも楽しみです。 (2022年1月26日 20時) (レス) @page49 id: 07285a2235 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん丸(プロフ) - もう、すごく面白くて、大笑いしました。 (2022年1月26日 20時) (レス) @page49 id: 07285a2235 (このIDを非表示/違反報告)
フランス革命(プロフ) - 中学生バレバレで草。高校のテストこんな甘くねーよ (2019年7月29日 21時) (レス) id: 6067ba3fc2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪星 | 作成日時:2015年6月7日 16時