向井太陽【可愛い人】 ページ22
「…っと、喋りすぎたかな。そろそろ行くわ。」
部活の途中、グラウンドの片隅で偶然顔を合わせたクラスメイトの村田と雑談していると、校舎の時計を見上げて村田が我に返ったように言った。
「あ、ごめんね引き留めて。頑張って〜!」
片手を上げて走り去っていく村田を見送って、私はマネージャー業に戻ろうと体の向きを変える。
するとそこに、いつの間にか彼氏である太陽が来ていた。
「あれ?太陽…ブルペンじゃなかったの?」
「誰?今の…」
私の問いには答えず、太陽は走って行った村田の方を見ている。
「あぁ、クラスメイトだよ。陸上部で、これから20キロ走るんだって。」
「…何が楽しくて何十キロも走るんだろ。長距離やってる人って絶対ドM。」
ふん、と見下したように言う太陽にため息をつきそうになっていると、その太陽がチラ、と横目でこっちを見てきた。
「…で、そのドMとベラベラ喋ってたみたいだけど?」
…ん?
これは…
いつもと微妙に違う太陽の様子にピンときて、私はわざと笑みを浮かべる。
「うん、喋ってたよ♪」
「………。」
「気になる?」
「……別に。」
「またまぁ。気になってるくせに。」
ぷぷぷ、と笑いながら胸を小突くと、太陽は不機嫌そうに眉をしかめた。
「何楽しそうな顔してんの?性格悪…」
「…太陽にだけは『性格悪い』って言われたくないんだけど…」
頬を引きつらせてそう言ってから、私は軽く息をついた。
「普通に雑談してただけだって。」
「ふーん…」
「やだなぁ、何もあるわけないじゃん!私にはちゃんと、かわ…カッコいい彼氏がいるんだからさ!」
「…今可愛いって言おうとしなかった?」
私がうっかり言いかけた単語を聞き逃さず、太陽は半目で確認してくる。
「違う違う!すっごいカッコいい彼氏!」
…と真剣な顔で誤魔化すと、太陽は暫く考えた後、くるりと体の向きを変え、顔だけ振り返って告げた。
「…今の、乾さんの前で10回言ってくれたら許してあげる。」
「…な…なんで乾の前…しかも10回も…」
「Aさんは俺にベタ惚れだっていう証人になってもらうんだよ、証人。」
べ、と舌を出しながらニヤリと笑い、太陽はブルペンへと歩いていく。
んも〜…
それさぁ、乾への嫌がらせも兼ねてない…?
「…っていうかさー、私、許してもらわなきゃならないようなことしてないんだけどー?」
そう言って息をついてから、私は太陽を追いかけて歩き始めた。
(斎宮なずな様リク)
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雪星(プロフ) - 出雲さん» 出雲様、返信が遅くなり申し訳ございません!今さらですが、リクエスト受けさせていただきます!御幸編と小湊兄弟編で分けて書かせていただきますね(>_<) (2018年1月23日 22時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - 乙葉さん» 乙葉様、返信が遅くなり申し訳ございません!今さらですが、リクエスト受けさせていただきますのでもう少々お待ちくださいませ! (2018年1月23日 22時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
出雲 - いつも雪星様の作品、楽しく読ませていただいております。倒れた夢主を心配しまくる過保護な御幸と小湊兄弟のお話が読みたいです。難しいとは思いますがどうかよろしくお願い致します! (2017年12月13日 4時) (レス) id: 888639fabb (このIDを非表示/違反報告)
乙葉(プロフ) - リクエストお願いしたいんですけど・・・倉持くんが彼女をからかって返り討ちにされるというリクエストなんですけど・・・ちょっと難しいですかね!?できるならお願いします!! (2017年11月26日 17時) (レス) id: 0b1b7fbed3 (このIDを非表示/違反報告)
のり(プロフ) - 雪星さん» あわわわわヽ(;´Д`)ノごちそうさまでした笑いつき可愛すぎかよ!鳴ちゃん邪魔しにこなかったらどうなっていたのか…。ニヤニヤありがとうございます笑 (2017年11月22日 22時) (レス) id: 85da798f24 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪星 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年2月4日 22時