真田俊平【バレンタイン】 ページ15
「おーい、敏腕マネージャー？いる？」
高校2年生の、2月14日。
全体練習が終わった後、部室でスコアを見ていると真田が入ってきて、心臓がドクンと跳ねた。
というのも、私は不覚にも以前から真田を好きになってしまっていて…。
「何よ、ロードワーク行くんじゃなかったの？」
内心の動揺を悟られないよう、いつも通りに答える。
真田は私を『敏腕マネージャー』と呼び、名前を呼ばれた記憶がない。
つまり、これはきっとマネージャーとしてしか見られてないってことで。
それがわかってるから、もう諦めモードで今日もチョコとか準備してないんだけど…。
「これから行くんだって。けど、その前に…」
そう言いながら真田は何かを差し出してきて、私は反射的に受け取ってしまった。
ソレは、綺麗な紙でラッピングされ、ハートのシールが貼られてて…
…え？
「…ナニコレ？」
訳がわからず固まったまま尋ねると、真田はニッと笑って口を開く。
「何って…俺から敏腕マネージャーへの、バレンタインチョコ？」
「…バレンタイン…チョコ…って…」
そう呟きながら、私は回らない頭を必死に動かし、どうにか自分が納得できる答えを見つけた。
「…あ、あぁ、つまり、日頃の感謝を込めた義理チョコ？…なんだ、ビックリ…」
ビックリした…と、言おうとしたら、真田が笑ったまま私の言葉を遮った。
「確かに感謝も込めてるけど、義理じゃねーよ。」
「……え？」
薄っぺらい笑みを浮かべたまま再び固まる私に、真田が瞳を和ませる。
「本気の、本命。」
続いたその言葉に、私は完全に絶句してしまって…。
「……うそ……」
「嘘じゃねーし。」
「だだだだって、そんなの、あり得ない…！」
「あり得なくねーの。マジな話。」
慌てふためく私に、真田は苦笑いを浮かべている。
だって…！
だってさ…！
「…だって…真田、私のこと全然名前で呼ばないじゃん…てっきり、女の子として見られてないって…」
半分呆然としながらそう言うと、真田は軽く目を見張ってから決まり悪げに頭を掻いた。
「あー…そんな風に思ってた？…それ、さ…」
そう言いながら、頭を掻いた右手を顔の前で立てて『ごめん』のポーズをする。
「…照れ臭くて、名前で呼べなかっただけだったりして。」
誤魔化すように笑う真田の頬は、間違いなく赤くなっていて…
それに気付いた時、私の顔も一気に熱をもったのだった。
(yhmn12041011様リク)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 160人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雪星(プロフ) - 出雲さん» 出雲様、返信が遅くなり申し訳ございません！今さらですが、リクエスト受けさせていただきます！御幸編と小湊兄弟編で分けて書かせていただきますね(>_<) (2018年1月23日 22時) (
レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - 乙葉さん» 乙葉様、返信が遅くなり申し訳ございません！今さらですが、リクエスト受けさせていただきますのでもう少々お待ちくださいませ！ (2018年1月23日 22時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
出雲 - いつも雪星様の作品、楽しく読ませていただいております。倒れた夢主を心配しまくる過保護な御幸と小湊兄弟のお話が読みたいです。難しいとは思いますがどうかよろしくお願い致します！ (2017年12月13日 4時) (レス) id: 888639fabb (このIDを非表示/違反報告)
乙葉(プロフ) - リクエストお願いしたいんですけど・・・倉持くんが彼女をからかって返り討ちにされるというリクエストなんですけど・・・ちょっと難しいですかね！？できるならお願いします！！ (2017年11月26日 17時) (レス) id: 0b1b7fbed3 (このIDを非表示/違反報告)
のり(プロフ) - 雪星さん» あわわわわヽ(;´Д｀)ノごちそうさまでした笑いつき可愛すぎかよ！鳴ちゃん邪魔しにこなかったらどうなっていたのか…。ニヤニヤありがとうございます笑 (2017年11月22日 22時) (レス) id: 85da798f24 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雪星
| 作者ホームページ：
作成日時：2017年2月4日 22時
