・cutting ページ30
現場に到着し、
私たちは消防隊員が案内する場所に走る。
ボイラー室に着き
私たちの目に飛び込んできた光景は
信じがたいものだった。
どうか夢であってほしい。
大きな鉄骨に挟まれ
意識を失いそうな黒田先生。
周囲は血の海。
真っ青な顔をして
黒田先生の処置をする白石先生
そして冴島さん。
足が震える私を横目に
藍沢先生が腰を下ろし白石先生に近づくと
白「私が、私が焦って中に入ったから！私が…」
彼女は震える声で叫び、自分を責めていた。
藍「わかった、もう代われ。」
私も自らを奮い立たせて処置にあたらなきゃ。
『虚血時間は？』
私の声も少し震えていた。
白石に尋ねたつもりだったが、
黒田先生の力のない声が返ってくる。
黒「２０分ってところだ。患者の搬送は済んだのか？」
藍「今救急車出ました。」
『こんな時まで…』
自分のことより患者のこと…
涙が溢れてくる…
冴「橈骨触れにくくなってます」
『レスキューは？』
藍「ダメだ。間に合わない」
『でも……それじゃぁ…』
レスキューは間に合わない…
このままじゃ命が危ない。
もう やるべきことはわかっている。
きっと藍沢先生だって、
答えはわかってる。
でも…
黒「…その通りだ…」
白「黒田先生…」
涙で視界がぼやける。
そんなの嫌だ。
黒「…切れ。藍沢、A。」
切断したら
黒田先生の医師生命が断たれかねない。
メスが握れるかどうか分からない。
だけど
切らなくては
黒田先生の命すら危ない。
私は涙が止まらない。
藍沢先生と目を合わせると
彼の瞳も震えていることが分かった。
その目を見て、
私は涙を拭った。
『分かりました。切断します。
切断して、すぐに翔北に運んで縫合する。』
藍「そうすればまだ可能性はある。」
黒「…その通りだ。」
藍「消毒しよう。」
-----
『黒田先生の右腕を切断しました。』
無線で翔北に伝える。
帰りのヘリの中
意識のない黒田先生。
泣き続ける白石先生。
目の前の藍沢先生の手には
これまで数々の命を救ってきた
黒田先生の右腕。
私は
震える手を押さえていた。
誰も何も口にすることがなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 450人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続きになっています この作品はいつ頃更新されるのでしょうか？ (2021年8月1日 16時) (
レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
莉々花(プロフ) - いつか更新されること待ってます。楽しみにしてます。 (2019年12月16日 23時) (レス) id: 1bc4ebfa69 (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になってます この作品はもう更新されないのでしょうか？ (2019年8月27日 17時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
のりぴー(プロフ) - 面白くてまとめて見てしまいました！更新楽しみにしてます。 (2018年8月20日 13時) (レス) id: b1332d8c7b (このIDを非表示/違反報告)
さらんりちぇ(プロフ) - 更新待ってます！頑張ってください！ (2018年8月6日 23時) (レス) id: f4f18cc943 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さくら | 作成日時：2018年7月2日 21時
