ハコヅメ＊６

・相　談 ページ31

your side



勤務終わりの署内の廊下、


源「A！」


そう呼ばれて振り返ると、


私の顔を見るなり


源「今日は何？」


と、唐突に聞かれる。


『え？』


源「また悩んでますって顔してる。」


あぁ、どうして
この人は何でもお見通しなんだろう。


恥ずかしくて
顔全体に熱が広がるのが自分でわかる。


廊下のベンチに腰掛け、
缶コーヒーを飲みながら
藤さんの言葉を思い出し、
心のうちを打ち明ける。


少しずつ心が柔く解けていく。


すると、そこへ、



？「何、辛気臭い顔してんだ？」



と、聞き慣れた声がする。



『宮原部長…』


源「お疲れ様です。」


宮原「おお。お疲れ。なんかトラブルか？」


藤さんの師匠であり、
私もお世話になっている
交通課の宮原部長が通りかかる。


源「あ、そうだ。
　 宮原部長に相談してみたらどうだ？」


宮「相談？ 川合のことか？」


『！！ ご存知なんですね。』


宮「まあ、誰もが通る道だからな。」


『実は、それだけじゃなくて…』



藤さんが悩んでいる様子だということを
宮原部長に打ち明けると、



宮「ハハッ。」と高らかに笑う。


宮「お前も相変わらずだな。
　 川合や聖子の悩みまで一手に引き受けて。」


『笑うことないじゃないですか！』


宮「悪い悪い。
　 いや、実はな、
　 さっき伊賀崎さんからも
　 そんなようなこと聞いてな…


『ハコ長が？』


宮「お前のことも、心配してたぞ。

　 まあ、俺が力になれるかは分からんが
　 今度 そっちに顔出しに行くわ。」


『ありがとうございます。』
源「ありがとうございます」



二人並んで頭を下げると、
すれ違いざまに宮原部長は
源先輩の肩を叩き
何かを言い残していて、



源「あ、いや！そんなんじゃ」


と言う言葉に
宮原部長はニコッと笑い、去って行った。


『宮原部長、なんて？』


源「んー？いや。」


そう濁して、
パーマ頭をかく源先輩を
不思議に思いながらも、
彼にお礼を伝えて 自宅に帰った。


ーーー



side 源



"「心配性な彼女をもつのも大変だな」"


宮原部長の言葉に否定したが、


いい加減、


胸張ってられる日が来たらいいのに…

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