ハコヅメ＊６

・合　図 ページ22

No side


普段は静かな夜の公園に到着する。

その場にそぐわない
大きな叫び声が聞こえてきた。


妻「イヤ〜痛い！やめて！」

夫「いいかげんにしろ！
　 てめぇ、こら！おい！」

妻「誰か！助けて！殺される！」


そこにいたのは、見覚えのある男女。
いつか交番に連れてこられた田村夫婦だ。


藤「あ。」

『田村さん？』

伊「常連さん？」

『この前 交番にきた夫婦です。』


白熱する二人。

旦那さんが奥さんの髪を鷲掴みにし、
かなり興奮した様子で 揉み合っている。


妻「殺される！」


伊「ちょ、ちょ、離れましょ…。」


慌てて止めに入る伊賀崎は、
旦那さんの体を掴んで奥さんから離す。


Aは奥さんをなだめるようにしながら
旦那さんとの距離をとる。


妻「お巡りさん！
　 今度こそDVよ、こいつ捕まえて。」


夫「何言ってんだ！
　 こいつが俺の金また使ったんですよ！」


伊「一緒に交番に行きましょう。ねっ」


『奥さんも落ち着いて下さい。』


妻「こいつ刑務所に入れて！」


夫「何が刑務所だ！お前が行け！
　 この泥棒が！」


またも奥さんに飛びかかろうとするので
藤も伊賀崎のサポートに入り
旦那さんをたしなめる。


藤「旦那さん飲んでます？」

夫「えっ悪いかよ。」

『！？』


その時、
木の影に隠れている奥さんを見て
Aは違和感を抱いた。


注意深く観察すると、
手元に刃物らしきものを隠し持っている。


『！！ 藤さん。』


藤「ん？」


Aは藤にアイコンタクトを送り、
すぐに藤も奥さんの手元に気付く。


藤「ハコ長、ハコ長。」


伊「ん？」


一緒にいる伊賀崎にもサインを送るが、
伊賀崎は旦那さんを抑えるのに必死だ。


夫「お巡りさん、
　 俺こいつと話あるんですわ。」


その様子を察し、藤とAは
再度 目を合わせ頷きあう。


妻「もうちょっと！早くなんとかしてよ！」


藤「ハコ長、単なる夫婦喧嘩です。
　 署に帰りましょう。」

伊「え？」


そう言って、夫婦が油断した瞬間、
Aが妻の背後に周り、
刃物を持った腕を掴む。


『奥さん。こんなの持ってちゃダメですよ。』


奥さんの手の包丁を見た瞬間、
喚いていたご主人は静まった。


藤「一緒に署に行きましょう。」





その後
二人をパトカーで署に連れて行き、


刑事課に引き継いで
私たちは交番に戻った。

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