ハコヅメ＊６

・弱　点 ページ14

your side



こんなノリは今までだってあったじゃない？



それなのに、、、



楽しそうな二人の姿に
こんなに胸がザワつくなんて…。



目を逸らしたくなるなんて…。



これは



『嫉妬』？？



よりによって大好きな藤さん相手に？？



山田に声を掛けられて我にかえり、
平静を装った。



ーーー



足早に向かった取調室では
川合ちゃんは既にやる気満々で。



前回のときも、
最初に少し手助けしただけだったから



きっと 今回こそは
川合ちゃん一人でできると思った。



だが、
ほんの少し不安そうな表情を浮かべる川合ちゃん。



『何かあったら必ずフォローするから、
　今日は最初から一人で、ね？』



と、

安心できる言葉を掛けつつも、


最初から最後まで
全面的に一人でやってもらうことにした。



期待通り
川合ちゃんの緊張はすぐに解け、



どんどん
似顔絵のヒントとなる情報を引き出していた。



私はそんな様子が嬉しく、
誇らしく、
後輩ながらに尊敬した。



川合ちゃんの後ろで話を聞きながら
自分も似顔絵の練習をしながら待った。



ーーー


side 川合



今日もAさんが立ち会ってくれ
安心して描くことができた似顔絵は、



「これ！取引先の若い子にそっくり！！」と



またもや
一発で犯人特定に繋がった。



刑事課に戻る廊下ーーー



源「いやぁー、助かったよ。ありがとな。」


川「いえいえ。」


『川合ちゃん、凄いよ！
　すっかり立派な似顔絵捜査官だよっ』


川「Aさんがいる安心感は大きかったです。」



先輩方に褒められ
いい気分になっていた。



山「ん？」


川「どうしました？」


山田さんが立ち止まったので
私も足を止め振り返ると、
紙を一枚持って首を傾げている。


紙を覗くと、
そこには子供の落書きのような絵が…。


すると、
Aさんが慌てて紙を取り上げた。


川「え？」


山「そういえば、A、
　 似顔絵の成績だけは悪かったわ。」



真っ赤な顔のAさんと、
苦笑いを浮かべる刑事課のお二人。


川「…じゃあ、今の絵は
　 Aさんが？」


「「………」」


『うるさいなー！
　ちょっとでも練習しようと思って
　描いてみたの！』


なんだか
すごく可愛く感じた。



Aさんにも
弱点があるんだ… と、
なんだか距離が近づいた気がした。

・漫画家→←・気付き

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す