続・照れ隠しのパウダー ページ3
莇「………」
『…紬さん、いま莇くんどんな感じですか？』
紬「…すごい真剣だよ」
あの後、Aさんから了承を得た俺は、
さっそく店員さんにテスターを出してもらい、メイクを始めた。
俺のメイクの腕前を見た店員さんは何か話しかけてくるが、今はそれどころじゃない。
ブラシを滑らせる手が止まらない。
メイクのイメージが次から次へと湧き上がる。
俺は夢中になってブラシを滑らせた。
ーーー
ほぼ全部の工程が終わり一息つくと、
紬さんも店員さんも感嘆の声をあげた。
それもそのはず。
今のAさんはどこからどう見ても女にしか見えない。
女優やモデルと言っても違和感はないだろう。
紬「すごいね…！モデルさんみたいだよ！」
莇「Aさんくらいの容姿なら、これくらいはいける」
紬「莇くんのおかげでいいもの見れちゃった」
『…何が起きているんだ』
未だ自分の顔を確認できていないAさんは、何が何だかわからない表情をしている。
俺は手鏡をAさんに渡した。
『…誰？』
莇「Aさん」
『莇くんすごすぎてもはや別人だよこれ』
紬「すごいよAくん！あ、今はAちゃんの方がいいのかな？」
『よくないよくない』
Aさんと紬さんが押し問答を繰り広げているところに俺は、これで仕上げ、と言いながらテスターのパウダーを取り出す。
Aさんに目を瞑ってもらい、仕上げに入ろうとしたところで、
何故か、Aさんを強く意識し始めた。
今までメイクの方に夢中になりすぎて意識していなかったせいか、こうして近くまで寄ると、余計に女に見えてくる。
俺は急に顔中に熱が集まるのを感じた。
『…？莇くん、どうかした？』
紬「莇くん、顔真っ赤だよ？大丈夫？」
莇「あ、いや…えっと…」
俺は何も言葉を発することができないかわりに、半ば無理やりAさんにパウダーを施した。
莇「っはい、終わり」
『え、ちょ、最後の方無理やりじゃなかった？』
莇「っんなこと、ねぇ！」
『待って莇くんさっきより顔赤くない？大丈夫？』
莇「大丈夫だ！」
完璧に仕上がったAさんの顔もまともに見れず、俺はそそくさと荷物をまとめ始めた。
この感情はきっと違う、相手は男の人だ、と何度も頭の中で反芻させながら。
Act.3 三好一成のインステ講座【三好一成】→←Act.2 照れ隠しのパウダー【泉田莇】
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なる(プロフ) - 求めてた主人公…面白いです！！！ (2019年11月20日 14時) (
レス) id: 6c98839274 (このIDを非表示/違反報告)
美優(プロフ) - すごくおもしろかったです！続きが気になります！これからも更新頑張ってください！楽しみにしてます！ (2019年8月12日 16時) (レス) id: 94bf85f3ba (このIDを非表示/違反報告)
とりさん(プロフ) - 是非、続きが見たいです！ (2018年12月15日 0時) (レス) id: b16a249822 (このIDを非表示/違反報告)
たかはし(プロフ) - いやもうこれあかんですよ……私のツボを的確に押してくる感じ……あなた神ですか？ (2018年9月15日 23時) (レス) id: b1c8d6ac09 (このIDを非表示/違反報告)
朧流水斬(プロフ) - umiさん» 今更ながら勉強合唱という恥ずかしいミスを見つけてしまいました…失礼しました！合宿です！ぜひまたリクエスト失礼しますね！ (2018年7月26日 20時) (レス) id: 5d1985f1dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：上原 | 作成日時：2018年7月20日 23時
