Act.8 月岡 紬 ページ9
い「じゃあ着いたばかりで申し訳ないんだけど、MANKAIカンパニーについていろいろ説明したいことがあるから、いいかな?」
『うん、大丈夫だよ』
い「長くなると思うから、お茶とお茶菓子持ってくるね!」
パタパタと足音を鳴らしながらキッチンへと消えていく監督。
その後ろ姿を見送った後、俺は初めて顔を合わせる人物に、挨拶へ向かった。
紬「初めまして。月岡紬っていいます」
『あ、どうも、三浦Aです』
紬「よろしくお願いします」
一成くんや太一くんじゃないけど、俺も彼に興味があった。
実は万里くんとの行きつけのカフェで、彼の姿を一度だけ目にしたことがあった。
彼はコーヒーを飲みながら本を読んでいただけだったから、当然俺たちとの面識はない。
ただ俺が、ずっと見惚れていただけ。もっと言ってしまえば、一目惚れだったんだと思う。
紬「あの、人違いだったら申し訳ないんだけど、天鵞絨町のあそこのカフェにいたことなかった?」
『ありますよ』
紬「あ、やっぱり。俺実は、Aくんのこと一度だけ見かけたことがあって」
『俺もありますよ』
紬「えっ?」
思いがけない言葉が返ってきて、思わず顔を上げた。
そこには俺の姿を写した、紫の瞳があった。
『紬さんのこと、見かけたことあります』
紬「ーーっ」
ふにゃ、と柔らかい微笑みを浮かべたAくんが、俺の名前を口にする。
耳に馴染む心地いい声音に、脳が溶けそうになる。
もしかして彼も、なんてありえない思想がよぎる。
『ヤンキーって感じの人と一緒にいましたよね。不思議な組み合わせだなって思ってました』
紬「あ、あー…えっと、もしかして万里くんのことかな」
『わからないけど、多分その人』
カラカラと笑いながらAくんは言葉を紡ぐ。
そういう想いがあって俺のことを認識してたわけではないことを理解して少しだけ落ち込む。
それでも、俺のことを覚えていてくれたことが、嬉しかった。
紬「もしよかったら、今度一緒にカフェに行こうよ」
『ほんと?もちろん行く』
自分からお茶に誘ってしまうほど、俺はAくんのことを知りたいみたいだ。
監督が戻ってくるまで、もう少し独り占めさせてください。
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みうら(プロフ) - ゆうさん» ありがとうございます!不定期更新にはなりますが頑張ります。どうぞ宜しくお願いします。 (2018年7月5日 3時) (レス) id: 35ea4b997f (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 面白いです。続き楽しみにしてます。頑張ってください!応援してます。 (2018年7月5日 1時) (レス) id: a38a23f7c7 (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - めぐりさん» ありがとうございます!これからも更新頑張ります。どうぞ宜しくお願いします。 (2018年7月4日 20時) (レス) id: 883feb171c (このIDを非表示/違反報告)
めぐり - 大好きです!応援してます! (2018年7月3日 21時) (レス) id: 993c3cdf12 (このIDを非表示/違反報告)
みうら(プロフ) - なかやさん» 閲覧・コメント・応援ありがとうございます。もっと楽しんで頂けるように頑張ります。これからも応援よろしくお願いします◎ (2018年6月25日 17時) (レス) id: 883feb171c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:上原 | 作成日時:2018年6月22日 20時