Act.20 泉田 莇 ページ21
寮に帰り談話室に寄ると、ソファで誰かが寝ていた。
ご丁寧にブランケットまで掛かっている。この奇抜な柄を見る限り、誉さんのものだろう。
俺は興味本位で寝ているソイツの顔を覗き込む。
その時俺は、衝撃を受けた。
寮内一綺麗な東さんを上回るほどのきめ細やかな肌、ぷっくりとした形と血色の良い唇、長くしっかりとしたまつ毛は、その肌に影を作っている。
この人にメイクを施したい。
俺は一瞬で虜になり、生唾を飲み込んだ。
『ん…』
莇「!」
その人は少し唸った後、ゆっくりと目を開けた。
じっくり観察していた俺とバッチリ目が合ってしまう。
莇「あ…」
『あ…どうも…?』
ーーーーー
その後目を覚ましたその人は三浦Aと名乗った。
俺はどうしてもAさんにメイクを施したくて、頼み込んで練習台になってもらった。
『ふふ、メイクなんてしてもらうの初めて』
莇「まあ、男でする奴は少ないしな」
やっぱりブラシの滑りが他の奴らとは違う。
こうしてメイクを施している間にも、どんどんさせたいメイクのイメージが膨らんでくる。
俺は夢中になってメイクを施していた。
『あ、そういえば莇くんて』
莇「ん?」
目を開けたAさんと、呼ばれて顔を上げた俺の視線が交わる。
夢中になってメイクをしていたせいで、顔が近くなっていることに気がつかなかった。
ブワッと身体中の熱が顔に集まる。
莇「ーっ!あっ、ワリ、近づき、すぎた」
『あはは、全然良いよ』
莇「〜っ///」
『あ、鏡見ても良い?』
莇「あ、あぁ…」
Aさんは近くにあった手鏡で自分の顔を確認する。
すると俺に向き直ってキラキラした表情で言った。
『すごい!俺じゃないみたい!』
莇「いや、Aさん元が良いから…」
『ううん、別人みたい。やっぱり莇くんはすごいね』
莇「ーっ」
Aさんの言葉が、俺の耳に染み入る。
今までも劇団員の奴らにすごいって何回も言われてきたが、Aさんの言葉は少し違った。
きっと今日のこの笑顔は、ずっと忘れない。
『ね、また俺のこと練習台に使ってよ』
莇「…良いのか?」
『もちろん』
莇「…サンキュ」
Aさんはまた微笑んだ。
俺は次のメイクはどんな感じにしようか、今から楽しみで仕方なかった。
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みうら(プロフ) - ゆうさん» ありがとうございます!不定期更新にはなりますが頑張ります。どうぞ宜しくお願いします。 (2018年7月5日 3時) (レス) id: 35ea4b997f (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 面白いです。続き楽しみにしてます。頑張ってください!応援してます。 (2018年7月5日 1時) (レス) id: a38a23f7c7 (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - めぐりさん» ありがとうございます!これからも更新頑張ります。どうぞ宜しくお願いします。 (2018年7月4日 20時) (レス) id: 883feb171c (このIDを非表示/違反報告)
めぐり - 大好きです!応援してます! (2018年7月3日 21時) (レス) id: 993c3cdf12 (このIDを非表示/違反報告)
みうら(プロフ) - なかやさん» 閲覧・コメント・応援ありがとうございます。もっと楽しんで頂けるように頑張ります。これからも応援よろしくお願いします◎ (2018年6月25日 17時) (レス) id: 883feb171c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:上原 | 作成日時:2018年6月22日 20時