Act.17 高遠 丞 ページ18
毎朝の日課であるランニングに出ようと玄関に向かう途中、監督の部屋から出ていく人影を見つけた。
監督かと思って目をこらしたが髪は短いし、監督より背が高い。
劇団員の誰かかと思ったがこの寮で女性の部屋に入るような人物はいない(真澄は置いといて)
丞「おい」
『…?あ、おはようございます』
丞「そうじゃないだろ。お前は誰だ。どうして監督の部屋から出てきた」
『あーえっと…これには訳があって…』
話を聞いたところ、監督とは旧知の仲であるらしい。
昨日から住み込みで働くことになり、寝る部屋がないから監督の部屋の隅っこを借りたと言った。
俺は事情も知らずに初対面から威圧的な態度をとってしまったことを謝罪した。
『そんな謝らないで大丈夫です。顔あげてください』
丞「ありがとう。しかし、ずっと監督の部屋で寝るつもりなのか?」
『ん〜さすがにいづみちゃんもプライベートがあるから、できることなら何とかしたいんですけどね』
う〜んと頭をひねるA。
俺は改めてAを見つめる。
随分着込んだであろうスウェットから覗く白い鎖骨、寝癖でところどころはねている艶やかな黒髪、眠そうに開閉をする瞼の奥には、澄んだ紫の瞳があった。
俺は男であるはずの目の前人物に、思わず生唾を飲み込んだ。
『ま、それは後でいづみちゃんと相談します』
丞「あ、あぁそうだな」
『…今俺のこと見てました?』
丞「えっ、いや、」
ふと顔を上げたAと目が合ってしまった。
すると見つめていたのを察したのかAは言った。
俺は弁解しようとするが、図星だからかうまく言葉が見つからない。
Aは俺に言い訳を考える隙すら与えずに、生意気にも頰を赤らめながら
『へんたい』
丞「ーーっ!///」
ニヤリと意地悪な笑みを浮かべた。
俺は頰が熱くなるのを感じながらAの頭を軽く叩く。
『いてっ』
丞「俺をからかうな」
『ちょっとした出来心ですよ』
ふふっと笑うAに、俺はただ速くなる鼓動を鎮めようとしていた。
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みうら(プロフ) - ゆうさん» ありがとうございます!不定期更新にはなりますが頑張ります。どうぞ宜しくお願いします。 (2018年7月5日 3時) (レス) id: 35ea4b997f (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 面白いです。続き楽しみにしてます。頑張ってください!応援してます。 (2018年7月5日 1時) (レス) id: a38a23f7c7 (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - めぐりさん» ありがとうございます!これからも更新頑張ります。どうぞ宜しくお願いします。 (2018年7月4日 20時) (レス) id: 883feb171c (このIDを非表示/違反報告)
めぐり - 大好きです!応援してます! (2018年7月3日 21時) (レス) id: 993c3cdf12 (このIDを非表示/違反報告)
みうら(プロフ) - なかやさん» 閲覧・コメント・応援ありがとうございます。もっと楽しんで頂けるように頑張ります。これからも応援よろしくお願いします◎ (2018年6月25日 17時) (レス) id: 883feb171c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:上原 | 作成日時:2018年6月22日 20時