Act.15 向坂 椋 ページ16
お風呂上がりに冷たい牛乳が飲みたくて、キッチンへ向かう途中、王子様を見つけた。
白馬に乗ってはいないし、冠をつけてもいなかったけど、その横顔は紛れもなく王子様の容姿だった。
僕はその横顔に、喉の渇きも忘れてボーっと見惚れていた。
椋「王子様…」
『ん…?こんばんは、何か用?』
椋「えっ!?あっ、すいません、ジロジロ見たりして…!」
『いいよ』
僕の独り言が聞こえたのか、王子様は僕の方に振り向いて微笑んでくれた。
微笑んだ姿まで完璧に王子様だ、僕はついに王子様に出会えたんだ。
椋「あのっ僕、向坂椋って言います!」
『三浦A。よろしくね』
椋「よっよろしくお願いします!」
憧れの王子様を目の前にして、僕は常に頰が熱い。
Aさんは住み込みで働くお手伝いさんだと聞いた。
今日から毎日この王子様と過ごすことができるなんて、夢のようだった。
『さっきからずっと顔赤いけど大丈夫?風邪?』
椋「えっあっ違います!ただ王子様が…!」
『王子様?』
椋「あ…!」
やってしまった。
つい僕の妄想がこぼれ出てしまった。
真っ赤なりんごのようになった僕に、Aさんは笑わずに、艶やかな紫の瞳を向けた。
『椋くんには、俺が王子様に見えるの?』
椋「あっあっ、はい!!僕が大好きな少女漫画に出てくる王子様そっくりです!」
『ふーん…』
そう言ったAさんは顎に手を当て何か考えている様子を見せた。
次の瞬間、Aさんは僕の頭に手を乗せて
『いい子だから、もう寝なね』
椋「ーーっ!」
ニコッと微笑えまれ、頭をゆっくり撫でられ、僕は目の前のAさん以外見えなくなった。
急に視界がチカチカキラキラして、世界が明るくなった。
Aさんは撫でていた手を下ろして、そのまま何処かへ行ってしまった。
なかなか部屋に戻らない僕を探しに来たカズくんに見つかるまで、僕はそこに立ち尽くしていた。
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みうら(プロフ) - ゆうさん» ありがとうございます!不定期更新にはなりますが頑張ります。どうぞ宜しくお願いします。 (2018年7月5日 3時) (レス) id: 35ea4b997f (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 面白いです。続き楽しみにしてます。頑張ってください!応援してます。 (2018年7月5日 1時) (レス) id: a38a23f7c7 (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - めぐりさん» ありがとうございます!これからも更新頑張ります。どうぞ宜しくお願いします。 (2018年7月4日 20時) (レス) id: 883feb171c (このIDを非表示/違反報告)
めぐり - 大好きです!応援してます! (2018年7月3日 21時) (レス) id: 993c3cdf12 (このIDを非表示/違反報告)
みうら(プロフ) - なかやさん» 閲覧・コメント・応援ありがとうございます。もっと楽しんで頂けるように頑張ります。これからも応援よろしくお願いします◎ (2018年6月25日 17時) (レス) id: 883feb171c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:上原 | 作成日時:2018年6月22日 20時